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短い恋

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 出場者数三十二名、十六組のペアによる混合ダブルスの試合は、三ゲームを先に勝ったペアが勝ち残るという形式で行われた。早川と麗奈は初戦と第二戦までは勝ってベストフォーには残れたものの、そこまでで敗退した。麗奈はスマッシュを決めるなどして好調だったのだが、頼みの早川が不調だったことは想定外だった。彼はファースト・サーブのフォルトが多く、何度かダブル・フォルトもあった。ボレーはネットに引っ掛ける。渾身のストロークはアウトになる。最悪だったのは、事実上の最終ゲームの最後、早川が受けた速いサーブは無残なフレーム・ショットとなり、黄色のアーチはコート外へ消えた。
「どうしたの早川コーチ」
「ごめん。申し訳ない。でも、麗奈さんとペアで戦えたことは、一生忘れないよ」
「そんな風に云わないで。いつかまた、一緒にやりましょう。約束よ」
早川と麗奈は指切りをした。

                *

数時間後、助手席の麗奈は、憂鬱そうな表情で沈黙していた。やる気満々だったテニスが振るわず、何も賞品を貰えなかったことがショックだったのだ。
作品名:短い恋 作家名:マナーモード