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短い恋

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テニス日和



 午前九時から三時間、快晴の元、コートで様々な練習をした。麗奈は夏の陽射しの中で輝いていた。もうすぐこの姿を肉眼で見ることができなくなる。そう思うと、早川は暗い表情を隠せない。
「二日酔いなのね。だめよ、元気ださなくちゃ」
 麗奈はそう云って早川を鼓舞した。云われた彼は今朝起きてすぐ、昨夜飲んだものを吐いてしまい、それ以来、意外に元気だった。少し足が痛くなりそうだったが、プレイに支障が出そうな程ではなかった。
 佐武のほうはよく足が動き、見たところ、絶好調という雰囲気だった。強烈なサーブとスマッシュで、周囲の人たちを驚かせ、歓声を浴びていた。
 トップスピンのリーダーも、汗をかきながら元気良く動き回っていた。時々早川に挑戦的なまなざしを向けたが、接近して来ることはなかった。早川はいずれあの男も自分の仲間になると思った。
 近くの蕎麦屋で昼食を摂ったあと、全員で近くの釣り堀へ行き、大騒ぎをしながら鱒釣りを愉しんだ。早川はリール付きの竿を持参して行き、リールを巻く音をさせる度にほぼ全員が爆笑した。串焼きの鱒を味わったあと、コートに戻って午後のトーナメントが始まった。
作品名:短い恋 作家名:マナーモード