短い恋
顔も、声も、解らないけれど、二人の心の優しさ、温かさは解っている。
「それでいいんです」
二人とも少し甘えん坊だけれど、明るくて、素直で、頑張り屋だということも……。
そのとき、彼は名前を呼ばれた。
「学さん」
麗奈の声らしい。
「起きて!ねぇ、学さん!」
早川は眼を覚ました。彼は布団の中で眠っていたのである。
「ここはどこ?」
よく見ると、どうやらバンガローの中らしい。次いで、笑っている麗奈の顔が見えた。テニスウエアの彼女は、美しさが更に増しているように感じた。
「もう八時過なんだから、起きなくちゃ」
屋外で野鳥がけたたましく囀っている。麗奈がその方向へ首を回すと、ポニーテールが揺れた。
「ポニーさん……」
「えっ?……ところで、釣りって面白そうねいつか、連れてってね」