不思議な空間
離婚の話
「現在恋愛中のひとはいる?」佐島がそう尋ねたが、誰も応えなかった。
佐島は質問を変えた。
「随分前に、テレビでお見合いの番組がウケてたねぇ。あれは参加したい人が多かったということ?」
「出会い系サイトが出現する前ね」と、由紀。
「話がずれるけど、不正請求はまだあとを絶たないのかな」
北だった。
「佐島さんは恋愛経験が豊富でしょう」
と、聖子。
「豊富でもないけど、まあ、幾つかの経験が小説を書き始めたことのきっかけになった、という面はあるかな」
「伺いましょう。初恋の話から」
聖子はそう云って笑った。
「そう来たか。初恋は随分昔だなぁ……五歳くらいだったな」
「五歳でしたか?早いなぁ」
北は半信半疑だった。
「おませだったのね!」と、聖子は笑った。
「相手は?」と、由紀。
「近所のマドンナ。小学校の三年生くらいの子で、遊びを仕切ってたんだ。私は物陰から見ていることが多かったよ」