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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第八回・四】ドンブラスココ

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「…寝てるし…;」
開けっ放しの縁側の和室で思い思いの格好で寝こけているのは坂田と中島そして慧喜の膝枕では悠助が寝息を立ててその慧喜も壁にもたれ掛かって眠っていた
「…かえり」
制多迦がヘラリ笑って庭先から手を振った
「おかえりなさいませ京様」
制多迦の後ろからヒマ子がゴトゴトとやってきて軽く頭を下げた
「残りの面々は?」
南が制多迦に聞く
「…るらは」
制多迦が縁側に腰掛け伸びをしながら答える
ミーンミーンという声とジワジワという声が競い合うように青い空に響いた

キシ…と床がきしむ
涼しい風が草の香りとともに流れ込むのは元・開かずの間
「…寝てるの?」
戸口に手をついた矜羯羅が言う
「ああ…疲れたのだろう」
窓際に腰掛け答えた迦楼羅のすぐ下でピョン毛が風に揺れる
「寝顔は可愛いのにね…」
矜羯羅がふっと笑って言う
「そうだな…」
少し上に向いた乾闥婆の寝顔を見て迦楼羅も笑みを浮かべた
「強がりで頑固なところは昔から変わらないな…こやつは」
そしてその笑みが少し曇った

「まだ…忘れられない?」
矜羯羅が腕を組んで迦楼羅に聞く
「…忘れられるものか…」
迦楼羅が言った
「あやつは…沙紗は…」
迦楼羅の手が乾闥婆の頬に触れる
「ワシが愛し守り抜くと誓った唯一の…」
矜羯羅が目を閉じた
「…すぐ傍にいるのにもう会えない…」
矜羯羅が言う
「それならいっそあの時…」
「これはワシに課せられた罪だ」
矜羯羅の言葉を迦楼羅がさえぎった