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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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トワイライト・ゾンビー

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 こいつの腕はとても引き千切れそうにない――。
 と、いきなり左の肩に噛みつかれた。
 それを合図に一斉に掴みかかる手、顎――。
 殺到するゾンビの重さに耐え切れずに背中から引き摺り倒された。
 目の前におぞましい顔が迫る。
 唇が崩れ落ちて黄色い歯が剥き出しになった顔は何故だか笑っている様にさえ見えた。

 肉を噛み千切る鈍い音――。
 天をも掴まんと伸ばした片腕がボトリと落ちる。
 未明はおぞましい感覚に絶叫した!!


 ハッとして目が覚めた。
 自分の家のソファでうたた寝をしてしまったのだ。
 動悸は未だ収まっていなかった。
 胸の上で組んだ腕がずり落ちた拍子で気付いたのだろう。
 嫌な夢を見てしまった。じっとりと嫌な汗もかいている。
 床にさっきまで何気なく読んでいた宗教の布教パンフレットが落ちていた。
 表紙にはこう書いてある。
「心に明かりを灯しましょう。心の闇に食われてしまう前に……」

 気が付けば夕暮れ時が近づいてきていた。
 夕焼けが赤く空を染め始めている。
 急いで部屋中の明かりを灯そう。
 早くしないとヤツらが襲って来てしまう……。


 おわり

      02.12.25

№013