星に願いを
彼を想って眠れぬ少女が星に願いを捧げていた。
「神様、私の身はどうなっても構いません。
明日、戦争へ向かう彼が無事帰ってこれるように祝福を……」
少女の願いは星に届いた。
「女、今の言葉に偽りないか?」
どこからともなく不思議な声が響く。その声は地の底から響いているようでもあり、あるいは天上の星々から響いているようでもあった。少女は事態が飲み込めぬまま辺りを見回す。自分の願いが届いたのだろうか? だとすると質問の回答が遅れれば、願いが聞き届けられなくなってしまうかも知れない。そのように考えて急いで答える。
「はい、偽りはございません」
「ならばこうしよう。まず、お前に不死の身体を与える。
その男が負う傷、痛みの全て、お前が身代わりに引き受ける。
それで、その男は死ぬことなく戦場から戻ることが出来るだろう。
そして男が無事に戦場から帰ることが出来たならば、
二人は永遠に愛し合うことも出来よう。
それで良いか?」
少女は二つ返事で答える。
「はい、それで構いません。有難うございます」
「もう、取り消すことは叶わぬ。
今の言葉、ゆめゆめ忘れるでないぞ……」
夜の帳の中宙空に、真昼の太陽のように強く光る玉が二つ現れる。強い光が天上で瞬く星を一瞬にしてかき消す。その玉の一つは少女の方へ、もう一つは彼の眠る家の方へ。光が少女を飲み込み、一層強い光を発すると、やがて消えた。少女は夢見心地の中、空を見上げると先程祈りを捧げていた時と同じように星が瞬いていた。その明滅に呼応するように少女の胸元で首飾りが光を反射して瞬いていた。
「神様、私の身はどうなっても構いません。
明日、戦争へ向かう彼が無事帰ってこれるように祝福を……」
少女の願いは星に届いた。
「女、今の言葉に偽りないか?」
どこからともなく不思議な声が響く。その声は地の底から響いているようでもあり、あるいは天上の星々から響いているようでもあった。少女は事態が飲み込めぬまま辺りを見回す。自分の願いが届いたのだろうか? だとすると質問の回答が遅れれば、願いが聞き届けられなくなってしまうかも知れない。そのように考えて急いで答える。
「はい、偽りはございません」
「ならばこうしよう。まず、お前に不死の身体を与える。
その男が負う傷、痛みの全て、お前が身代わりに引き受ける。
それで、その男は死ぬことなく戦場から戻ることが出来るだろう。
そして男が無事に戦場から帰ることが出来たならば、
二人は永遠に愛し合うことも出来よう。
それで良いか?」
少女は二つ返事で答える。
「はい、それで構いません。有難うございます」
「もう、取り消すことは叶わぬ。
今の言葉、ゆめゆめ忘れるでないぞ……」
夜の帳の中宙空に、真昼の太陽のように強く光る玉が二つ現れる。強い光が天上で瞬く星を一瞬にしてかき消す。その玉の一つは少女の方へ、もう一つは彼の眠る家の方へ。光が少女を飲み込み、一層強い光を発すると、やがて消えた。少女は夢見心地の中、空を見上げると先程祈りを捧げていた時と同じように星が瞬いていた。その明滅に呼応するように少女の胸元で首飾りが光を反射して瞬いていた。