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呼び寄せるもの 【腐った隣人】

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 体がガタガタと揺れる。
 どこか懐かしい感覚と、ざわざわと騒がしい少年少女の声が耳に心地よい。

「千尋。起きて、千尋」

 友人の香奈の声に目を覚ました千尋の視界に、香奈の面影を残したセーラー服の少女の姿が飛び込んでくる。

「あなた……香奈に似てる」

 目の前の少女は一瞬目を丸くしてぷっと吹き出した。

「千尋寝ぼけてるの?テスト勉強のしすぎじゃない?早く起きてよ」

 香奈の後ろには汚れた黒板。
 学生服姿の男子が数名暴れている。
 それを遠巻きに見守る女子。
 全員名前がわかる。山口、長谷川、田中、安藤、渡辺、吉田――。

「一年三組27番都木巣香奈?中学生?」
「うん?やっと目覚めた?」
「私、大人だったはずなんだけどな」
「千尋は大人びてるけど、未成年だよー」

 中学生の友人と話をしながら自覚する。
 これは夢だ。
 大人に守られ、楽しいことしか知らない、子供だった頃の夢。
 大人の社会に少しだけ疲れた自分の心の中の願望が楽しい頃の夢を見せている。