狐鋼色の思い出 真梨子編第3話更新
あたしは校門を飛び出す
遠くへ
遠くへ
私は出来るだけ早く走った
なのに……なのに……あいつはついてくる
練習中、
着替え中でさえも
奴のざらついた目線がこちらをのぞく
「はぁ…はぁ…」
もう……
「逃げてなんかいられないわ!!」
そういうと私は後ろを振り返った
「出てきなさい!!!」
雨降る街の路地裏で
私は始めて敵の存在を知った
「ターゲットニンシキ モクヒョウ イノウエマリコ 」
その時私は凍りつく
そこには心臓の鼓動の無い機械人形があった
「コード 1030 ハイジョヲヨウセイスル ニンシキ ハイジョカ コレヨリハイジョスル」
私はかばんについたキーホルダーを引く
「何か困ったときこのキーホルダーを引けば大丈夫だからさ」
あのとき古谷さんは言った
あの時は信じてなかった
でも今これに頼るしか無い……
「コード4972 マシンガンノヒツヨウヲシンセイ キョカ ハッポウカイシ」
お願い…
お願い……
お願い!
……
爆発音がした
ふと目をあけると機械人形は路地の壁に当たってしばらく動けないようだった
「コード9999 エラー エラー エラー」
エラーね
機械人形が立っていたところには……
「これは古谷さんの作っていたパワードスーツ……」
画面のディスプレイには(イノウエマリコと認識 着用を許可する 右のボタンを押せ)と表示されていた
どうやってもってきた
「えーと右のボタンを押せばいいのね」
パワードスーツがばらばらに分かれた
……私の周りを回っている?
気づいた時にはわたしはパワードスーツを着ていた
「すごい!自分の体みたい」
自由に動く!
何これ不謹慎だけど楽しい!
[勝率80% 背部キャノンが有効と判断 目標30秒後に起動]
「サイキドウ モクヒョウパワードスーツチャクヨウ ショウリツ20%」
[オートモード起動を申請]
「オートモードって私は動かなくていいのね?」
[肯定]
ならば任せてしまおう
もともと戦闘の知識などもってない
私に出来るのはこの戦いが終わるのを待つだけ
「やって 今すぐ」
[YES MOM]
爆音がした
すぐさま機械人形に命中した
[弾切れ アタッチメントを手動で開いてください]
右下のアタッチメントを開く
中からはバズーカ
そして拳銃が出てくる
[もしこのパワードスーツが壊れた場合その拳銃で戦ってください]
「……わかった」
そんなことはおきないと思う
というか思いたい
ド?ン
えっ威力強すぎ……
壁崩れてんじゃん
「やりすぎやりすぎもっと威力を下げてよ」
[しかし勝率が30%ダウンしますが]
「構わないわ やって」
そんな事言わなきゃよかった
機械人形は立ち上がりマシンガンを乱射する
[右腕に異常発生]
右腕が動かなくなった why?なぜ?
見ればわかった
右腕の関節部分に弾丸がはさまって動けなくなっていた
こっちもお返ししなきゃいけないわね
すぐさまこちらもマシンガンで応戦する
だが敵の動きが早くよけられる
「なんでこっちの攻撃は当たらないの?!」
[右35度敵発砲開始]
ドドドドドドドドドドドドド
よけられるわけも無くまともに右半身に全弾命中する
「ハァ……ハァ……」
[右半身に亀裂発生 マイクロ砲の使用を要請]
マイクロ波は電子レンジにも使われてるものだ
中の部品に影響を与え機械を壊す
もしかしたらサイボーグであるあたしも死ぬかも・・・・・・
「許可するわ……」
その刹那パワードスーツは崩れ去って
あたしは何とか動けたけど
機械人形は動かなくなった
音はしなかった
機械人形からオイルが出ていて
血にしか見えない
精巧に作られた機械人形だから
私にはいっそうニンゲンに見えて……
作品名:狐鋼色の思い出 真梨子編第3話更新 作家名:チャーリー&ティミー