窓の中
【今日の空は曇っていて今にも雨が降りそうです。
きっと雨で桜は散ってしまいますね。
いつか満開の桜の木の下から、青空を見ることが私の夢の一つでしたが今年も叶いませんでした。
雨は静かで、私の部屋のように命の音が聞こえてくる気がします。
桜が散ってしまうのは残念ですが、私は雨が嫌いではないのでちょっぴり嬉しいです。
いつもの青空も好きですが、どんな空も私は大好きです。
あなたはどんな空が好きですか?
いつか答えが聞けると嬉しいです。
あなたの好きな空と、私の好きな空のどちらも元は同じ空だと考えると何ともいえない暖かい気持ちになります。
本当はその空の下でお話をしたかったのですが、私は先に空を捜しに行くことになりました。
どうしても伝えられない、私が書けなかったこの手紙を最後にします。
今までありがとうございました。】
【私はあなたに恋をしました。
初めての想いをありがとうございます。
いつか空を見上げてみてください。
雨がやんでいることに気がつくかもしれませんね。
大好きでした。 】
貼らない切手を握り締め、
窓の外に掛かる虹を歩いていくことにした。
伝えられなかった想いは
空へと帰っていけたのかは分からないが、そうであることを祈ることしか出来なかった。