小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

「山」 にまつわる小品集 その参

INDEX|1ページ/22ページ|

次のページ
 

鹿 (ミステリー)


 国道19号線を走る車から御嶽山方面を眺めると、山はすっぽりと雲に包まれていた。
 御嶽山の山裾に差し掛かると、ポツポツと雨がフロントガラスに模様を作り出し、開田高原からロープウェー方面に向かう頃には、強く叩き始めた。
 ワイパーがせわしなく左へ右へ。続くヘアピンカーブでハンドルもせわしなく切り返す。

 視界が悪い中、前方から迫って来るヘッドライトに気付いた時には、すでに避けようがなかった。

 キキーッ、ゴッゴッガガガガ
ブレーキを踏みながらハンドルを左に切った。そしてすぐに右へ。
 幸いスピードは出しておらず、車体は山肌にこすりつけただけで止まった。
 すぐにルームミラーに目をやる。
 ? 
 そしてサイドミラーへ。

 あわてて車から飛び出し、ガードレールのない道路下を覗き込んだ。
 車輪を上に向けた車が目に入った。
 怖くなり、自分の車に戻るやターンできる場所まで行くと、引き返していった。