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茶房 クロッカス  その1

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 いざ店を買い取り、店内外の改装を終え〔とは言ってもほとんど弄ってないが〕、ようやくオープンまで漕ぎつけた。
 一応俺は地元の人間なので、友達や元の同僚などがオープン時にはそれなりに駆けつけてくれて、それなりに忙しかった……が、そこまでだった。
 その後は――まぁ、追々と話をしていこうか。

 朝いつものように起きると、トーストとコーヒーだけの軽い朝食を済ませ、身仕度を整えると家を出て、長年愛用の自転車に乗って店に向かう。
 朝九時に家を出て、途中のスーパーに寄って足りない物を買い、店に着くのが大体九時半。それから店の中と外をざっと掃除して、店を開けるのが十時。これが毎日のパターンになっている。 最初の頃こそ《今日はどんな客が来るだろうか? 何人位来るだろうか?》などと、少しはワクワクもしたが、さすがにオープンして四年も経った今、それも採算の取れる月の方が少ない今の現状では、諦めの境地にならない方がおかしいだろう。
 それでも店を閉めずに続けているのは、こんな店でも一応気に入って来てくれている、いわゆる常連さんがいてくれること、そういう人達と話をするのが楽しいこと、更に当然ながら初めての客も来るから、その人間ウォッチングがまた楽しくて癖になっていたからだろうなぁ…と自己分析。
 もし店を閉めたら、また職探しもしなくちゃならないし面倒だ。
 幸いなことに、二年前に他界した親が、わずかばかりとはいえ遺産を残してくれたから、まぁそのお陰もあって、道楽まがいの喫茶店を続けていられる訳だ。