ストーカー日記
――――いつものことだから・・・
「うち、遊汰君のことが本当に好きなの!それでも、ダメなの?・・・」
あの時遊汰君は私のことを無視して去って行ってしまった。それでもまた会いたいの!!でもこのままじゃきっと会ってもスルーされちゃう・・・
――――だったら
「お久!彪ちゃん。久しぶりじゃんww」
「お久~」
私はあ彪。どこにでも居る地味~なJK。だけど一つだけ秘密がある。それは・・・
それは地元の夏祭りのことだった。久し振にお目当てに会った。それがことの始まりだった。
彪は友達の楓と花と休憩所で休んでいた。
「これ最近流行ってる奴じゃんww花スゴ~イ」
「結構頑張ちゃった♫」
「でも、うちつけま派なんだよなぁ・・・」
「でもつけま結構いいよ」
花が遠くの方を見た。つられて彪も見た。するとそこに・・・
「あれ、二階堂くんじゃない?」
「遊汰君!!!!」
彪は思わず立ってしまった。そしてすぐさま携帯を取り出しカメラモードに。これはもちろん盗撮だ。
つまり彪はストーカーだった。これは最大の彪の秘密だ。誰にもバレてはいけない。
しかし・・・・
「彪、遊汰君大好きだもんね(苦笑)」
既にバレていた・・・
とにかくそんなことはどうでもいい。遊汰君を追いかけなくては。そう思い立った彪は男子の集団に向かって走って行った。そこは大きな倉庫の前で特に人が集まっているわけでもなくシンとしていた。
「ゆーたくん、ゆーたくーんww」
彪は一生懸命話しかけるが一度も彪の方を向かない。これは既に日常茶飯事に事なのだ。もちろん周りの中学の友達は見慣れているので何も言わないし止めることもしない。二階堂遊汰にとってはこの日は名ずけるなら「神羅万象」だろう。
彼女、否夢咲彪は今日斉藤遊汰に宣戦布告をする予定であった。その内容は簡単で
1. 私が4ヶ月以上付き合える彼氏ができるまで遊汰君のことを好きで有り続けていい。
2. 遊汰くんは私(彪)に彼氏ができるようにいくらでも紹介できる。
3. 万が一私のことが好きになったら直接「好き」と言ってください。
この3つの約束を守るだけだ。
もちろん遊汰くんは諦めてもらえるならとこの条件を飲んでくれた。
それがついこの間だ。
今、彪は・・・
「宿題が終わらない~~~」
嘆いていた。
「どうしようあと1ページなのにやる気が起きない。そうだ、PCをしよう!」
彪がソファの上で足を組みくつろぎながら思い立ったかのようにPCを開こうとすると。
「そんなことしてると一生終わんないと思うけどね」
彼女は彪妹で玄である。元々彪頭が悪くそのうえ体格的にも良いとは言えない。彪自身でも気にしてはいるがやせにくい体質なのでしょうがない。
その正反対が夢咲玄なのだ。
「はるかに言われなくたってわかってるよ。うるさいな」
宿題が終わらないのは自分のミスだ。ミスの名はまさに「星火燎原」。
簡単だから後に後にと夏休みの最後で時間という向かい風の中頑張っては・・・いない。
《言葉じゃうまく言えない思いを、君に打ち明けるとしたらなんて~♪》
「遊汰君からだぁ」
彪はケータイを片手に飛び跳ねて喜んだ。しかもこの着メロ遊汰以外専用だ。はそれは遊汰本人かもわからないこの時代で本当に彪にとてってかけがえのないくらい大事なメールだからだ。
「なんて書いてあるのかなぁ~フフン」
ケータイを開け中を読むと、
『件名:遊汰
明後日空いてる?』
遊汰くんもうギブしたのかなぁ~なんて思いながらさらさらとメールを打つ。
『件名:遊汰空いてるよ(^^♪
何かあるん?
空いてなくても遊汰くんの
ためなら開けるけどね(´∀`*)』
直ぐに返信をし3分ほど待つと。遊汰からメールが返信が来た。開くと
「キタ━(゚∀゚)━!」
思わず叫んでしまった。
そこに書いてあったのは
『件名:遊汰
会ってもらいたい人がいるから
明後日、○〇駅前に居てもらっていい?』
彪はカレンダーを確認して「よし!」というと『了解(^^♪』と送ってその日のメールは終わった。
―――明後日―――
「なんだぁ~游汰くんじゃないんだぁ~ちょい残念゚(゚´Д`゚)゚」
駅前のところで待っているとひとりの男性が話しかけてきたのだ。その男は「二階堂に頼まれて来んだけど・・・彪チャンだよねぇ?」と言って挨拶を始めた。
「ま、そんなに落ち込まないでよ。オレ今彼女募集中だったし。彪チャン意外とタイプだから仲良くなれると思うよ。あ、俺のことは中島謙ね。ヨロシクね」
と言いながら手を差し出してきた。スタイルは普通で顔も普通でもちょっと遊汰くんよりカッコいいぐらい。と思いながら笑顔で挨拶した。
「こちらこそよろしくね。私は夢咲彪って言うんだ。彪でよろしくね」
そう言いながら握手をした。その時彪は直感的に思った。この人女なら誰でもいいタイプか。全くけしからんなぁ、と。
「んじゃぁ、彪。オレを今日1日で好きにさせてあげるから」
ナルシか!?恐ろしすぎるナルシ。
「あ、うん。ありがとね・・・でも私を落とすのは大変だからね」
精一杯の反抗だった。怖すぎるナルシ。
そして2人はゆっくり歩きだした。特にどこかに行く目的もなくふらふらと。
「そういえば彪は二階堂のどこが好きなの?」
コイツ直球過ぎる。そのうえ、何気なく手間つないでいる。これは本当にコイツが彼氏になってしまうんではないかという不安に駆られてしまう。
「う~ん・・・全部かな。存在的にってカンジ」
「え!?マジで!!オレじゃダメなのそれって?絶対俺の方がいいと思うけどね。だってオレ中学のときから今まで6人くらいと付き合った経験があるからな。もちろん夜もね」
「ゴメン、うち処女なんでわかりませんわ」
「え~ウソ!マジ!?んん?」
謙のケータイに誰かから電話が掛かってきた。「ちょっとゴメン」というと2メートルぐらい離れていった。
「だから、ゴメンって。ね。許してよ~頼むからさ。また今度一緒にランチでもしよ。ね。」
遠くに離れているのに聞こえるのは可笑しい。これはわざと聞かしているパターンだ。まさにオレモテるんだぜアピール。
「ごめんねぇ~待たせちゃった?」
「大丈夫だよ。それより聞きたいんだけどさ、いい?」
駆け足で帰ってきた謙に彪は突拍子もないことを聞いた。
「謙さんて、二股かけてますよね?」
なんにも悪くないと行った表情で黙っている謙に彪は答えも聞かずに言った。
「二股って本当に良くないんですよ。」
また黙っていたが今度は違った。謙から出るオーラが先ほどと全く違うのだ。
「あのさ、お前俺のなんなの?別に彼女でもない奴が・・・うぜえんだよ
。」
怒っているというよりは苛立っていた。それはもう見た目でわかるほどに。
「うるさいも何も二股されてる女の子の気持ちわかってるんですか!?」
「うるせぇ、黙れよ。てめぇに俺の気持ちが分かるかよ」
すると謙は人通りの少ない路地まで腕を引っ張っていき壁に叩きつけた。
「イタ!!」
「テメェ、さっきからうるせぇから御仕置きしてやるよ」