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表と裏の狭間には 十三話―新規参入―

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「だから、あたしたちは固まって生活しているのよ。そうすれば個々で暮らすよりは安全だし、それに、同じ家で暮らして、それぞれが少しずつ生活費を出せば、生活コストも減るしね。」
「なるほどな………。それで俺たちも誘ってるわけだ。」
「そういうこと。」
「またまた。お姉様は一緒に暮らす仲間が欲しいだけなの。」
「ちょっ、デマよデマ!」
「……で?結論はどうなったのですか?」
「うーん。俺はいいけど………。雫は?」
「お兄ちゃんがいいならいいですよ。」
と、いうことで。
俺は、ゆりの家に引っ越すことになった。
まぁ、その話はまた後日。

………。
引っ越した翌日。
朝、俺が起きて廊下を歩いていると。
廊下の向こうから、ゆりと蓮華が歩いてきた。
「おっはよう!よく眠れた?」
「おはよう、ゆり。それに、れ―――」
俺は、絶句した。
何故なら。
赤毛。
赤毛のショートカット。
そこから連鎖的に、記憶が蘇る。
整った端整な顔立ち。
短く切り揃えられた綺麗な赤毛。
すらりとした体。
それは、キーワード。
過去の記憶を呼び起こす鍵。
開かれた過去は。
短い赤毛。
細い手足。
端整な顔立ち。
そして、短パンとTシャツ。
男喋りの、活発な少女。
そして何より、俺の親友。
雫の親友。
そして、彼女は、こう名乗っていた――。

「――レン?」

「……………あ。」
彼女は、頭に手をやり、ハッとしたように驚き、しまったというように苦笑した。
そして、彼女は諦めたように首を振ると、昔のような、朗らかな笑顔で。
昔のように、挨拶をした。

「おはよう、紫苑。そして、『久しぶり』だね。まぁ、これまでのこととこれからのことは、おいおい話そうじゃないか。今は再開を喜ぼう。紫苑。また会えてよかった。」

彼女は、蓮華としてではなく。
レンとして、そう言った。
言ってくれた。

続く