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キジン×ヘンジン×サツジン

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 裏口から外に出ると、西棟の影に優里さんの姿があった。
 優里さんは腕を押さえており、手の間からは血が漏れている。
「優里!」
 優希さんが駆け寄ろうとしたが、それを制し、
「大丈夫ですか?!」
 僕がそう言いながら近づくと、優里さんは、南を指さした。
 そこにあるものに気づき、僕は、
「空岸さん、皆さんをロビーに」
「まさか……やっぱりあれだな。馴染み深い空気だと思ったよ。わかった。こっちは俺に任せろ。そいつはどうするんだ?」
「優里さん、立てますか?」
 彼女は首を縦に振る。
「――では空岸さん、彼女もお願いします」
「いいだろう。これは貸しといてやるよ」
「殺人鬼相手に借りを作ってしまうとは……なにを要求されるか、想像するだに恐ろしいですね」
 僕がこんな状況にありながら、苦笑しながら言うと、
「ハッ! こんな状況でそんな冗談を吐けるような奴に言われたかねえよ」
 そう返された。
 空岸さんが他の方々をつれ、立ち去ったところで、南側から複数の足音が聞こえて来た。
 南側に行くため、目の前のそれを跨ぐ。
 向こうに行くと僕は、
「止まってください」
 そう言った。
 周ってきていたのは、仕使さん、薬師さん、疑衣さん、ネネちゃん、夢埜さん、四方八さんの六人だ。
「薬師さん、四方八さんは残って、他の方はロビーに向かっていただけますか?」
「……かしこまりまりました。では皆様、ロビーに参りましょうか」
 僕の指定した人から何かを予測したのか、彼はそういって皆さんを引き連れ、玄関へと引き返す。
 僕が残った二人の方を向くと、
「なにがあったんですか、十一月二十九日さん? 向こうでは吊橋が落ちていましたよ!?」
「私と、四方八さんが残った、ということで、推測は立つがね」
 肩をすくめて薬師さんが言った。
「百聞は一見に如かず、です。こっちへ」
 僕がそう言って彼らを、それが倒れているところに案内する。
 そこで僕がそれ、と呼んだ人の成れの果ては、胸から血を零していた。
 地面をその身の血で汚し、自分で作った血の池の上に、倒れていた。
 地に伏しているのか。
 血に伏しているのか。
 池に伏しているのか。
 まるで、それを問うためだけに、外で殺したかのようでもある
 だが、僕の愚考では、答えの出ない問題だ。
 いや、それ以前に、問題ですらない。
 今、僕の愚考にとって問題なのは、通間 道征さんが、死んでいることだった。