【第八回・参】試して合点
「…黒髪ラムちゃん」
「え?;」
南が言うと緊那羅も携帯を覗き込んだ
「ドッペルだなドッペル」
携帯の画面の中でピースをしている寝巻き姿の少女の横には【たえこだヨ】の文字
「こりゃ…ドッペルだな」
京助が緊那羅を見てそしてまた携帯画面を見て言った
「緊那羅の写メ送ってみたらは?」
中島が言う
「トイレの鏡暗くて見えなかったんだね〜…びっくりするんじゃないかな? たえちゃん」
南が緊那羅を見て笑いながら言った
「…そんなに似てるっちゃ?;」
緊那羅が携帯を見て言う
「デコポチが無いのと…髪型違うくらいじゃないか?」
坂田が言った
チャ〜ンチャ〜ンチャチャ〜ン…♪
「…親父…」
鳴り響いた葬送行進曲を坂田が素早く止めた
「…なぁそういやお前…俺等からかかってきた時の着信とか設定してんの?」
中島が坂田に聞く
「もち」
坂田が言った
「中島からきたらゆずの夏色だろ? 南からきたらタッチで…」
坂田が携帯を振りながらそれぞれからかかってきた時に流れる着メロを答えていく
「…なんとなく俺からのヤツの着信想像つくよな…;」
京助が口の端を上げて言った
「中島は柚の字入ってるからゆずなんだろ?; 南はアサクラ南でタッチ…」
京助が坂田を見ながら言うと坂田がニッと笑った
「あ〜…なんだか俺もわかった気がする」
南が笑った
「俺も」
中島がそういいながら緊那羅を見る
「…何だっちゃ?;」
緊那羅が首をかしげた
「ラムのラブソング」
京助と南、中島が声を揃えて言うと坂田が親指を立てた
「へ?;」
一人わけのわからない緊那羅が自分を指差したままきょとんとしていた
作品名:【第八回・参】試して合点 作家名:島原あゆむ