吾輩は猫のキューピッドなのにゃ
「チビがお邪魔してますか?」
その質問がきたのは数日後のことだった。
「餌もトイレもあります」
そう、返信した。
「猫ちゃんが好きなのですね」
「猫が大好きです」
「もうすぐ行けなくなります。去勢手術します」
「費用を半分負担します」
「ご心配なく。結構です」
その後、半月経ってから少し大きくなったチビがきた。
「桜が咲き始めましたね」
「三分咲きのところもあります」
私はチビを追跡してみることにした。帰るのは午後七時頃が多い。
何度か試みたが、いつも見失った。駐車場の車の下に入ると、そのあとは見えなくなってしまう。
「男性のかた?」
「そうです。あなたは?」
私は、或るSNSサイトの名称と、「白いキャンバス」というハンドルネームを紙に書いてペンダントに入れた。その次にチビがきたときはペンダントが空だった。
作品名:吾輩は猫のキューピッドなのにゃ 作家名:マナーモード