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ヴァーチャル・ルーム

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「おはよう」
僕は美咲にいつものように声をかけた
朝も早いと言うのに美咲の髪型はとても手が込んでいて
今日が中間試験の当日だという事を忘れさせるくらいに念入りに手入れをしていた
「昨日はちゃんと勉強したの?大丈夫?」と美咲
「うん、いや・・・もう途中からどうでもよくなって・・・
いや、それでも結構したよ・・・多分」
「ほんとに大丈夫?明人は元々馬鹿じゃないんだからやればできるのに?
もう高校2年だよそろそろ本気ださないとまずいんじゃない?」
「いや・・・もうどうでもよいと言うか
俺は多分大学行かないんじゃないかな?」
僕は自転車を漕ぎ出す
美咲は後ろにキチンと横乗りして僕等は学校までの道のりを駆けてゆく
「勘弁してよ大学行かないなんて
ほんと私、明人と話していると自分が辛くなる」
美咲は僕の背中の肉をつまんで足をバタバタさせる
「おい、危ないよ自転車が転ぶ転ぶ」
僕はあわててハンドルを調整してペダルを更に踏み込む
なだらかな道が続いていて僕は背中に彼女の柔らからさを感じながら
ペダルを漕いでゆく
暫くすると結構きついカーヴがあって其処を抜けると
後は学校までずっと上り坂だ
自分ひとりなら最後まで登れるけど美咲を乗せているので途中で
自転車を降りて其処からは二人で歩いて学校に向かう
「ねえ、大学に行かなかったらどうするの?」
美咲はかばんを両手でしっかり持って前を見ながら尋ねる
「漠然と『いかない』とか中学生みたいなこと言ってるんじゃないでしょうね」
僕は自転車の前のカゴに鞄を入れて其れを押しながら坂を上る
太陽がぐんぐん登ってきていて背中からじりじりと照りつけている
作品名:ヴァーチャル・ルーム 作家名:透明な魚