訴えかける老人
「助かりたいのか」
「助かりたいのか」
生物の声が木霊しました。
そして私は、その生物から助かる方法を授かりました。
気がつくと、私は病院のベッドで横になっていました。
久しぶりに見た太陽の光はとてつもなく眩かった。そしてひどく気分が悪かった。
私以外の時間は、実に3年も進んでいました。
……吐き気をこらえながら、私は、なんとか、なんとか実行しました。
あの生物に言われたとおりに。
もしかしたらこんな話は全くの嘘で、病気の老人が3年間見ていた、
ただの夢なのかもしれない。
だからこそ、軽い気持ちで、その助かる方法とやらを実行してしまったのですが。
ああ。
どうやら。
私が見てきたものは、嘘ではなかったようですね。
ああ。一体、あの生物は何者だったのでしょうか。
貴方は既に何も聞こえてないのですね。名も知らぬ看護婦さん。
でも大丈夫です。貴女もいずれ助かります。
私と同じように苦しんだ後、私と同じように目覚め。
私と同じように、目が覚めたら、最初に目にした人間に、その話をするだけですから。