神々と悪魔の宴 ⑪<悪魔の契約>
それはピカピカに輝く真新しい十円玉だった。
「はい、どうぞ」
そしてそれをボクの手の平に載せた。
「なんだよコレ。十円玉じゃないか」
「いえいえ、一生掛かっても使い切れない程の金――ですよ」
そう言って悪魔はニヤリと笑う。
「だって三つの願いを叶えたら魂をもらう契約でしょ。もう三つを叶えましたから、魂を頂きます。ええ、今すぐに戴く訳ですからたとえ十円だって使いきれるものでは無いのですよ……フフフ」
って、身体から抜き取られて魂だけの存在になったボクは悪魔のネクタイピンに付いた宝石に閉じ込められた。
魂を封じ込めた宝石はこの上なく魅惑的な耀きを放つらしい。
それをこの次の冴えない男に見せて、次の標的をたぶらかそうとしているのか。次の扉の前に立ってネクタイを直し、指輪やカフスが良く見えるように服装を整えると、悪魔は次の扉をノックした。
おわり
11.04.30
№104
作品名:神々と悪魔の宴 ⑪<悪魔の契約> 作家名:郷田三郎(G3)