小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

クレイジィ ライフ

INDEX|10ページ/10ページ|

前のページ
 

「オレなら、おまえを満足させられるよ。気持ちいいこと、いっぱいしてあげられる。そりゃ女のような膣はないよ。でも括約筋の方が締まりがいいんだ、知っていた?」
媚びるような表情の変化に動けず、ただ相手を見つめるしかできない。
沈黙をいい方にとったカイナは目を覆いたくなるような蕩けた微笑を零して胸元を撫でる。
「1回試してみるのもいい。わかるでしょう、後腐れなんて残さない」
「頭がズキズキしてどうしてこうなったかわからないがとりあえず、これはいえる。性生活の不一致なんて、別段珍しい話でもないだろう」
纏っていた妖しい雰囲気がやや薄れ、カイナは口先を尖らせる。
「なに、満足させて貰えないのに肩持つの」
「おまえに指摘される謂れはない。身体があんまり丈夫じゃないんだよ。むりさせたら、身体壊しちまうんだ」
混乱でよく分からない頭の中で、浮かんだ儚い姿を想う。
「やさしくしたいんだ。大切にしたいんだ。傷つけたくない。俺はそれでいい。確かに我慢しているところもあるけど、触れていたら、そんなこと、どうでもよくなるし」
喋り過ぎたことを自覚して自己嫌悪に陥りながら透は口を閉ざした。向かいの相手はだんだん出会ったばかりの、周りを全て敵に回すような威圧感を放ち始めたが、徐にだー! と叫んだ。
「そんな風に言われたら、間男がつけこむ隙がなくなるだろう!」
「は? 間男?」
「この際ヒモでもいいよ」
「ひも?」
「ヒモはアンタね。オレが養う方」
頭にかかる重圧感に耐え切れず、天井を仰ぎ見た透は勢いをつけて、カイナに頭突きを食らわす。
「いっっででえ!」
「まあ落ちつけよ」
「おまえが落ち着けよ!」
透は手でカイナの顔を鷲掴み、ぎりぎりと力を入れていく。
「もう理解できなくて、脳みその回転速度がオーバーヒート気味なんだ。おまえ、こうゆう意味の分からない方法で復讐するつもりなのか」
「ちーがーうーよ。だから」
手を払ったカイナは少し上を向いて、透にキスをした。
「おまえが好きって言っているんだよ」
透は得意げにこちらを見上げているカイナを数秒見つめたあとで指をさした。指先は勿論玄関口。
「出ていけ」
「なんで」
「出て行ってくれ。なんで命を狙われるような喧嘩を二回もした相手に三度目で告白される流れになっているんだ! 俺は意味が理解できない未確認生物とかUMAは大嫌いだ」
「ハッハー。なにそのカテゴライズ、ウケルー。まあ好きになっちまったのさ、諦めな」
「なんで俺が改めるような流れになっている。 出ていけ、頼む、出て行ってくれ」
最後には懇願し始めた透にカイナはイヤダといってにんまりと笑って抱きしめる。
「好きなんだよ、どうしようもなく。初めてなんだよ、こんな気分は。なあ、迷惑かけないようにするから、好きなままでいさせてくれよ」
「既に迷惑だ。有害だ」
「テンパるとおまえ可愛いなぁ」
 よしよしと頭を撫でてくる相手の身体を掴み、窓から投げ捨てようと問答を繰り返し、騒ぎを聞きつけた大家が慌てて介入するまで、馬鹿な騒動は続いた。

作品名:クレイジィ ライフ 作家名:ヨル