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ゆうかのエッセイ集「みつめて…」

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「孤独の海」

わたしは毎日毎日孤独の海で溺れていた
自分が波に呑まれて 沈まないようにするのに必死で
周りを見る余裕など欠片もなかった

ちょっとでも油断をすると
海の中から誰ともわからない手が伸びて来て
わたしをより深い底へと引き摺って行きそうで…

ただただ上を必死で睨み
その向こうにかすかに見える空を目指して
じたばたと足を動かして
少しでも浮き上がれるようにと…

早く誰かわたしを助けに来て
わたしを深い鉛色の海の中から
透明な空気の広がる 上の世界へと引き上げて
魂の叫びにも似た からだの芯からの叫び
だけど誰にも届かない

誰もいない 誰も見えなかった広い海に
ある時ひとりの人が溺れていた
その人はわたしと同じように
もがき苦しみ 助けを求めていた

同じようにもがく自分に何が出来ようか
しかしわたしは その人にそっと寄り添った
何をするでもなく ただ寄り添った

冷たい水の中で その人の体温をほのかに感じた
その人もわたしの体温を感じたのか
その表情には ゆるやかに微笑が広がっていった
その微笑を見たとき
わたしの中でも何かが広がっていった

これは何なんだろう?
この暖かい 心を潤すように広がっていくものは…
もしかしたら これが幸せという感覚かもしれない
ふと そう思った

これまでのわたしは
自分のことしか考えてなかった
自分しか愛していなかった

人と触れ合い 人を愛することで
初めて得られるもの
それが本当の愛だと その時気づいた

その途端わたしのからだは
虹色の光に包まれて
海の中から引き上げられ
ふわふわと宙に舞った

そこには例えようもないほどの
暖かい愛が満ちていた
わたしは生まれて来たことに感謝し
そして愛されることに感謝した




※ ナルシスト について
ナーシシズム(英語 narcissism)、ナルシシスム(フランス語 narcissisme)(自己愛)とは、防衛機構の一種である。
自己の容貌や肉体に異常なまでの愛着を感じ、自分自身を性的な対象とみなす状態をいう。
ナルシシズムを呈する人をナルシシスト (narcissist) という。
ナルシシズムという語はフロイトの心理学において初めて使われた。

語の由来はギリシア神話に登場するナルキッソス(Narcissus、フランス語ではナルシスNarcisse)である。
ナルキッソスはギリシアの美しい青年で、エコーというニンフの求愛を拒んだ罰として、水たまりに映った自分の姿に恋するという呪いを受けた。

彼はどうしても想いを遂げることができないので、やつれ果てた挙句スイセン(narcissus)の花になってしまった。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より参照