真夏の逃避行
豪華なディナー
車のサイドドアのガラスが割られていた。大量の現金は消えた。あの、黒いジープが来たのだと、早川は思った。
「盗られるとショックね。でも、怪我をしなくて良かったね」
窓を割られたことはショックだった。でも、厄介払いができて良かった。あんなもののために、命を落としたくはない。
「じゃあ、ちょっと待っててね」
早川は熱い風呂に入った。重い虚脱感がきた。真犯人がまだ近くにいると思うと、恐ろしかった。金を手に入れても、すぐに遠方へ移動するとは限らない。早くここから動くべきだと思った。
焦燥感と共に風呂から出て、車に戻った。
「もう一度美女が入って来るかと思ったのに、期待して損したよ」
「わたしが?嫁入り前の乙女がそんなことするわけないでしょ。エッチなのね」
「男はみんな狼だからね。気をつけてくだされ」