朽ち果てる
僕が家に帰ったのは、夕方の六時ごろでした。
部活が終わって、自転車で帰って来たのでもうヘトヘトです。いつものことなんですけどね。僕は倒れるようにベットに横たわり、眠りにつきました。ここまではいつもと同じなんです。少ししたら、父が帰ってきて、母がご飯だよと僕を呼ぶ。これが毎日繰り返されてるから、この日も同じ…はずでした。
この日は珍しく電話が鳴りました。父からの残業の知らせか、学校からの電話か…。その音で目覚めた僕は、母の元へと向かいました。なんの電話?と訊くと、母は泣きながら答えるのです。警察の人からよ、と。
何があったのかきくと、母はこう言いました。お父さんがね、死んでしまったの。泣いてかすれている声のはずなのに、死という言葉だけははっきりと聞き取れました。いつもなら疲れて帰って来る父。彼はもうこの世にいないんだと実感したのは、その日の八時です。病院の霊安室に、青白く冷たい姿で横たわっているその人は、紛れもなく僕の父親でした。放心状態の母にかまってる暇はなく、拳を握りしめながらうつむく僕は無力でした。どうしてこんなことになったのか。何故死んでしまったのか。そんな疑問を頭に浮かべながら、その日は家に帰りました。疲れているはずなのに、眠りにつきたいのに、こういう時だけは意識がはっきりするものなんですね。神様は僕を眠りにはつかせて下さいませんでした。
部活が終わって、自転車で帰って来たのでもうヘトヘトです。いつものことなんですけどね。僕は倒れるようにベットに横たわり、眠りにつきました。ここまではいつもと同じなんです。少ししたら、父が帰ってきて、母がご飯だよと僕を呼ぶ。これが毎日繰り返されてるから、この日も同じ…はずでした。
この日は珍しく電話が鳴りました。父からの残業の知らせか、学校からの電話か…。その音で目覚めた僕は、母の元へと向かいました。なんの電話?と訊くと、母は泣きながら答えるのです。警察の人からよ、と。
何があったのかきくと、母はこう言いました。お父さんがね、死んでしまったの。泣いてかすれている声のはずなのに、死という言葉だけははっきりと聞き取れました。いつもなら疲れて帰って来る父。彼はもうこの世にいないんだと実感したのは、その日の八時です。病院の霊安室に、青白く冷たい姿で横たわっているその人は、紛れもなく僕の父親でした。放心状態の母にかまってる暇はなく、拳を握りしめながらうつむく僕は無力でした。どうしてこんなことになったのか。何故死んでしまったのか。そんな疑問を頭に浮かべながら、その日は家に帰りました。疲れているはずなのに、眠りにつきたいのに、こういう時だけは意識がはっきりするものなんですね。神様は僕を眠りにはつかせて下さいませんでした。