そんな季節が秋
そんな季節が秋
今朝も元気なあなたと
挨拶を交わすことができた
それだけでいいと思った
私は気のきいたことは云えず
あなたの取り巻きのひとたちの
外側の目立たない隅で
立ち去ることもできずに
もう一度何か云えないものかと
思案している
それはいつものことで
何も深刻がることではない
秋の空が気まぐれだからと云って
不平を云っても始まらない
夏の影はもう随分前に
感情に流されて行った
これから先のことを
考えても良い時期になったと
誰かが囁いたような気がする
ただの風が吹き過ぎたのを
誤解したのかも知れない
そんな季節が秋
何度でも繰り返す
流行り歌のように
あの厭な奴がまた
舞い戻って来そうな
そんな予感にさいなまれ
今日も独り
街を彷徨うしかない
あなたの面影を蘇らせながら
あなたの無邪気な声を
心の中で聴きながら