朝露
朝もやのナポリの草原をアウレリウスとルチアが手をつないで歩いている。
「今日も天気が良くなりそうだね]
「うん、今、すごく幸せ・・」
「ヘレナさんも・・・よかったね・・・安心した・・」
「うん・・・なんとか、子供が見つかったことが一番よかったかな」
「ヘレナさんとは・・・ほんとに・・・何もなかったの?」
「うん、全く何もない・・・」
ルチアはじっとアウレリウスの眼を見つめる。
「うん・・全く無いね・・・、貴方って案外鈍感かもしれない・・・」
「え?・・」
「気にしなくてもいいの・・」
アウレリウスは、ふっとしゃがみこんだ。
「アウレリウス? 何をしているの?」
「ルチア・・ちょっと眼を閉じて・・・」
「うん・・」
アウレリウスは、白い花を摘んで・・ルチアの髪にさした。
「眼をあけて・・・」
「うん・・ありがとう・・」
アウレリウスとルチアは、しっかりと抱き合った。
ルチアの髪の白い花から、朝露がきらめいていた・・・
(完)