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お下げ髪の少女 後半

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「お父さん。それ、どういう意味?緒方さんが困った顔してるわ」
「娘なんてどうせ家から出て行くんだ。結婚式で父親が泣いたりするだろう。あんなのを見ると、馬鹿かと思うぜ」
「じゃあ、覚悟はできているんですね」
「人間は誰でも一人で生まれて来て、一人で死んで行くんだ。どうってことねえや」
「じゃあ、緒方さんと一緒に、わたしがどこかに行っても構わないの?」
 緒方は美緒の発言に度肝を抜かれた。
「今すぐじゃあ、困るよ。母さんの気持ちも考えてやらないとな。そうだな……あと、五年か。美緒が大学を卒業したら、喜んで手放してやるよ」
「五年かぁ。長いね。五年前、わたしは小学生だったな。緒方さんは中二だったのね」
 緒方は美緒の頭脳に驚嘆していた。
「お前、親にも少しは気を使うべきだぞ」
「ごめんね。お父さんは、やっぱり中学の
先生だったね……そうだ。あれはどうなったの?」
 緒方には何の話なのか判らなかった。箸を止めて親子を交互に見た。
「受賞の報せはおとといだったよ」
「えっ!受賞したの?!すごーい」
「何の話なんですか?」