サイボーグさっちゃん
第二章 たいへん! 電池がない!
さっちゃんは、ひさしぶりに学校へ行きました。休んでいたせいか、わからないところもありましたが、友だちやお母さんに聞いてみんなにおいつきました。いままでだったら、いやになるくらいの勉強でしたが、サイボーグになったせいかどうかわからないけど、やる気が出てきます。とくに体育はあまりとくいじゃなかったけど、みんながおどろくほどとくいになってしまいました。
ある朝、お父さんが新聞をみながら、ウーンとうなっています。さっちゃんが「どうしたの」ときくと、
「わるいやつが小学生を車にのせて、自分のうちにつれていってころしてしまったんだよ。さっちゃんも、しらない人の車にのったり、ついていっちゃだめだよ」そう言ってからお父さんは、心配そうなかおをしてさっちゃんを見ました。
さっちゃんが「だいじょうぶ。わるいやつだったらなげとばしてやるから」というと、お父さんはまた心配そうなかおをしました。
学校でも、お父さんと同じように「しらない人についていかないように」と言われました。そして一人でかえらないようにも言われました。
学校を出るときは、何人かいっしょにかえっても、学校から近いじゅんにだんだん少なくなって、さいごには一人になることを先生は知らないのかしら。さっちゃんはそう思いました。さっちゃんも学校からとおいので、最後のほうは一人になってしまいます。
他にも一人でおうちにかえる子がいました。二年生くらいの女の子が50メートルぐらい前を一人で歩いています。
その子のうしろから車がゆっくりついて行くのが見えました。まどには中が見えないようなシールがはられています。さっちゃんは、ひらめきました。人があまり通らないばしょです。あんなにゆっくり走るのはおかしい。
――ぜったい、あの車、あやしい!
さっちゃんは、早足で歩き、ついて行きました。
作品名:サイボーグさっちゃん 作家名:伊達梁川