小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ef (エフ)
ef (エフ)
novelistID. 29143
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

趣味人の恋 2 (5~8章)

INDEX|1ページ/4ページ|

次のページ
 
===================================================
章タイトル: 第5章 転機
-----------------------(p.17)-----------------------


前にも述べたように、僕の唯一趣味らしい趣味は『釣り』だ。

この不況の中、皮肉な事に釣りに行ける時間はイヤって云うほど出来た^^;

土日は勿論、金曜日も全社的な休日にした。
実際、平日事務所に居てもほとんど仕事の電話は掛ってこなかった
経営上焦る気持ちはあっても、どうしようもない現実
それこそ、家に居いればダラダラとするしか無かったので、
自然と釣行回数が増えた。

幸いなことに?僕の釣りは、比較的お金の掛らない『波止釣り』だ。
つまり、釣り船に乗って釣る「船釣り」や、遠方の天然磯で釣る「磯釣り」と違い、自宅から精々車で1時間ほど走らせた大阪の泉南方面や、西の神戸の港湾施設が僕の釣り場だった。
だから、車のガソリン代や高速料金を除けば毎回五千円でお釣りがくるような費用で楽しめた。

その代わり、船釣りのように大漁はない^^;・・
そして他人に自慢出来るような大物も滅多に釣れない。
更に手ぶらで帰ることも無い訳では無かった(−_−;)
しかし、朝早くから起きて、一日海を見ながらいると、幾分気も晴れる。
『釣りコミュン』に入っている手前、たまには『自慢』もしたいし♪(^。^)y-.。o○

3月の初旬、その日も僕は朝早く起きて、神戸にある渡船屋(有料で釣り人を沖の堤防に渡してくれる)の船に乗り、出港を待っていた。

その頃からこの趣味人倶楽部は携帯電話からのアクセスも可能になっていた。
出港を待ちながら、自分の部屋を覗く。
当然、誰からの伝言も入っていない。
僕は香りさんの部屋にアクセスする。
「最終ログイン1時間以内」
(あ、香りさん、起きてるやん♪(^。^)y-.。o○)

今でこそ、パソコンで「お気に入り」に登録した人物の【ログイン状況】を知ることは出来るが、携帯でのアクセスでは、パソコンに先んじて、誰でもアクセスした部屋のログイン状況が見れた。
(あれ?誰かと・・・喋ってる(;一_一)・・・・・・・・)
時間は分からないものの、その朝の日付になっている伝言は、まだ真新しく思えた・・・

-----------------------(p.18)-----------------------

僕にはその伝言の内容が衝撃的だった・・

香りさんの話相手は「ナイスミドル」と云う男性だった。

話の内容からすると、香りさんはこのナイスミドルさんを前から探していたようだ。

それは香りさんの知人の女性?が以前この趣味人に居て、このナイスミドルさんと交流があったらしい。
所がその女性が訳在って退会され、ナイスミドルさんに何だかのコメントを香りさんに託されたと云った内容だった。

僕が衝撃を受けたのはそのことでは無く、香りさんの
文中に

「私も神戸を離れ14年になります。兼ねてから考えていたのですが、今月の中旬、関西に帰ろうかと考えております。」

と云う言葉があったからだ

     \(◎o◎)/!

(えええ~~!香りさん、【関西人】?(^_^.)・・・・やっぱり・・)

僕には以前から『あれ?ひょっとして・・』と云う思いがあったのだ。

それは確か、アバのミュージカル映画『マンマミーヤ』が上映され話題になっていた時だった。

香りさんとはアレ以降、朝のおしゃべりは相変わらず『日課』になっていたし、仕事の関係で朝にアクセス出来なかった時も携帯から10時頃、ダメ元で?

「ママ、未だやってるか?今日は仕事で大阪に直行やってん♪^^;・・おいしいアメリカン一杯、飲ましてぇなぁ~?」

と伝言したら、

「(-_-)/~~~ピシー!ピシー!もう、閉店ですよ!いま、後片付けの洗い物が済んだとこなのに!
(^0_0^)うふふ♪一杯だけですよ♪おいしいアメリカン入れてあげる♪飲んだら、カップ、シンクの中に入れておいて下さい(^_-)-☆じゃ、また明日」

と云う具合に、何か良いムードになっていた♪(#^.^#)

そんなある時、

「香りさん、アバ好きやったなぁ♪(^。^)y-.。o○今、『マンマミーヤ』ってやってるやん♪もう観た?」

「ああ、私はアバは好きだけど、あの映画はそうヤイノヤイノ云う程でもありませんね(+_+)・・」


(ヤイノヤイノ????????ひょっとして・・・・・・
  香りさん・・・・・・\(◎o◎)/!)

-----------------------(p.19)-----------------------

『ヤイノヤイノ』とは、関西弁で「それほど騒ぐほど大したものでは無い」と云う意味だ・・・

関西弁のオッサンを自認する?(;一_一)ホットイテ!僕に合わせたのか?

いや、昔良くテレビのドラマで関東の俳優が変な関西弁を遣うのとは格段に違う程、『ヤイノヤイノ云う』は高度な関西弁だ!

その時は何気なく済ませていた疑問が確信に変わった。

しかし、反面、『見てはいけないもの』を見たような気がして、その場で香りさんに話しかけはしなかった。

夜が明ける前に神戸港の入り口に横たわる、全長1km弱の消波堤防【通称・和田防】に上がった。
僕のホームグランドだ。

この3月と云う時期は2月と並び海の中の水温が最も低い。
当然魚の活性も最も低く、多くの釣果は望めない・・
しかし、全く釣れないかと云えばそうではなく、魚の居るポイントと釣り方を知っていれば、家族の夕食分の釣果を得る位は何とかなった。
今日は堤防の沖向きに積まれた消波用のテトラポットの間に出来る小さな穴に餌を送り込んで釣る【穴釣り】だ。
僕はこの堤防には10年近く通っており、何処にどんな穴が在って、どれだけ釣れたか、ある程度知っていた。
かつては「釣り日記」にどの場所のテトラとテトラの間がポイントか、克明に絵入りの記録を残したりしていた^^;・・

この日も、まるで渓流釣りの沢登のように、複雑に組まれたテトラの間に入り込み、20センチから25センチの丸々と太った黒メバル、ガシラ(カサゴ)を早々に5,6匹仕留めた。

8時頃になって「何食わぬ顔」をして?^^;・・香りさんの部屋に行った。


-----------------------(p.20)-----------------------

「香りさん、おはよう(^_-)-☆今日は神戸に釣りに来てるねん♪(^。^)y-.。o○20センチから25センチのメバルとカサゴが釣れたよ♪」

「まあ、おいしそう♪(^0_0^)私、お魚大好き♪それじゃあ、北海道まで宅急便で送って下さる?(^_^.)」

香りさんには朝の事には触れなかった・・・

僕がアクセスする前に、足跡の時刻を見ていれば、自分がNMさんと交わした会話が僕に知れていると分かったはずだが・・


数日後、僕は【ラベンダーの香りさん】にマイフレ申請した。
マイフレになればミニメールでプライベートな遣り取りが出来る。