神々と悪魔の宴 ②<神の微笑、悪魔の涙>
『本当にお前等神は惨い事をする。
ああやって人間を一生こき使い、苦痛に喘ぐ魂のエネルギーを吸い取ってしまうのだから。結局彼らが幸せを得るのは死ぬ一瞬だけだ』
悪魔は少し目を潤ませているようだった。
『それに比べて俺達のなんと優しい事か、生きてるうちに散々サービスをして大きく育てた魂を最後にチョチョッと戴くのだからな……』
そう言いと悪魔は神にクルリと背を向けた。
『ふん、下賎《げせん》の者が何を言う。
確かに神と悪魔は同じ種族の生き物かも知れん。
しかし白い翼をもつ我々貴族は特別な能力を以《も》って昔からこうして糧《かて》を得てきたのだ。
地上を駆けずり回って、人間供と深く関わり、ちょこまかとエサを集めるお前達には、所詮理解する事など出来んのだ……』
去って行く悪魔の背中にそう言い放つと、ふたたび神は地上で忙しく動き回る人間を微笑みながら見つめるのだった。
おわり
02.10.11
№003
作品名:神々と悪魔の宴 ②<神の微笑、悪魔の涙> 作家名:郷田三郎(G3)