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CROSS 第14話 『挨拶まわり』

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第5章 赤い霧



 そのころ、咲夜はパチェリーという人物に、あの本を渡していた。
「魔理沙が持っていっていたのか」
パチェリーという人物は女性で、他の本を片手に抱えていた。もう
片方の手であの本を持っていた。咲夜は彼女を探すのに時間を食っ
ていた。
「この本はこの異次元で一番大事な本だと言われているんですよ!
 !!」
「そりゃあ、この異次元中の世界の運命のことなどがわかる本だか
 らね」
「そうですよ!!! もし、言いふらされたりしたら、異次元中で
 大混乱が起きますよ!!!」
「大丈夫よ。魔理沙にはちゃんと言っておくし。……というか、も
 う内容を忘れているかもしれないし」
「魔理沙はいいんですけど、あの山口という奴の手に渡っていたん
 です!!!」
「読んでいないかもしれないわよ」
「とにかく、一言言っておかないと!!!」
咲夜はそう言うと、またガレージに向かった。



 しかし、少佐の姿は車とともに消えていた……。そのとき、車が
急加速する音が聞こえてきた。咲夜がガレージから出て、門のほう
を見てみると、チラリと少佐の車の後部ランプが見えた。
「中国、その車を止めて!!!」
咲夜は叫んだが、咲夜の声は急加速の音で掻き消された……。
 咲夜は猛ダッシュして門に向かい、その門を軽々と飛びこえた。
しかし、少佐の車はすでに走り去っており、排気ガスのにおいがす
るだけだった……。

 咲夜は受付ボックスに向かった。受付ボックスの中では、紅美鈴
がイビキをかいて寝ていた……。咲夜はそんな紅美鈴にため息をつ
いた後、受付の電話を使った。



「ふー。どいつもこいつも使えない奴ばかりねぇ」
レミリアは受話器を置くと、そう呟いた。部屋にいるのは彼女だけ
で、デスクの上には書類が散らばっていた。

   プルル♪ プルル♪

 そのとき、電話が鳴り始めた。レミリアはやれやれといった感じ
で受話器を取った。
『失礼します。咲夜です、お嬢様』
「あれ? 咲夜、いったいどこからかけてんの?」
『門の受付ボックスからです。ちょっと、面倒事が起きまして、
 山口さんを呼び戻してもらえませんか?』
「……直通電話はまだ使えないんだけど、アイツがもう何かやった
 の?」
『……例のあの本の内容を知った疑いがあるので、呼び戻したいの
 ですが……』
「……じゃあ、私が霧を舞いて足止めしておくわ。追いかけてくれ
 る?」
「わかりました」

 レミリアは受話器を置くと、「何か」を始めた……。