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激しくも生き、されど終焉は … 穏やかに

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 高見沢は何か新しい発見をしたかのようにキョロキョロとしている。
「そうなのか、その時々の村山たか女、そこにもあそこにもいる。世の中にはたか女ばっかり、これはどういうことなのだろうか? えっ、ということは……」
 高見沢は閃いた。
「こんな重大なことを、俺は今まで気が付かなかったのか」
 高見沢はまるで大きな謎が解けたように、独り言を呟く。
「そう、世の中の女性は、みんな──村山たか女──だったのだ! いつも愛を絡ませ、幸せになったり不幸になったり、中には‘生き晒しの刑’にあったりで大変だけど……、激しくも生きる女性たち、村山たか女は初めから古今東西そこらじゅうに一杯いたのだ」
 高見沢の呟きが止まらない。
「それぞれの生き様を見てみると、お姉さんもお母さんもおばあちゃんも、みんな男に激しい愛を絡ませ生き、また生きてきた」
 高見沢はもう自分の思考に酔ってしまっているのだろうか。
「実る愛もあれば、実らぬ愛もある。泣いたり笑ったり、確かに苦労だけど……、どっちにしろ男は、いつも直弼や長野のように、あっという間に生涯を終えて行く」

 高見沢は少し自虐的、されど自信たっぷりに、さらに独り言を続ける。
「一方、女──村山たか女は波乱の中にあっても、しっかりと生に執着し、最後の最後まで生き抜く」
 高見沢はここに至り大きく息を吸った。そして、男の心の奥底から絞り出したかのような声で、吸い込んだ息とともに言葉を吐き出す。
「男性諸氏へ告ぐ! 貴男は井伊直弼タイプ、それとも長野主膳タイプ? どちらのタイプでも同じこと。貴男のそばにも愛する女性がいるだろう。その女性こそが貴男と共に粒々辛苦を重ね、波乱万丈に生きる村山たか女なのだ」

 高見沢は目をカッと見開く。そして今回のオッカケの結論付けを自分勝手にするのだった。
「男はタイミング良く、美しく花と散って行く。そして女は男と紡いだ愛の名残に抱擁されながら、まさに──激しくも生き、されど終焉は穏やかに──その生涯を終える。これを実現させるのが、貴男が愛する村山たか女への……男の責務なのだ!」


                          おわり