らくがき
夏のおわりに
朝、駅で突然声を掛けられた
振り返るとキミがいた
小さい頃から知っている
近所のコンビニの娘
小麦色に焼けたキミの笑顔
白い歯がキラリンと輝いて見えた
子供だと思っていたのは
いつのことだったろう
ちょこんと下げた頭を斜めに戻して
『さよなら』と言った
あー、キミの夏はまだ続いてゆくんだね
おとな達の季節なんか気にも留めずに
軽いめまいの後、ホームへ駆け下りた
驚いた顔のキミがいた
額の汗をハンカチで拭って
照れ笑いを隠そうとした
『おじさん大丈夫?』って
キミのいたずらっぽい微笑
いつの間にか冷や汗になった事に
又さらに凹みかけた
ともだちを見つけて駆けて行くキミを
見送ってため息をついた
あー、キミの夏はまだ続いてゆくんだね
日に焼けた肌も褪めないままに
あー、キミ達の夏はまだ続いてゆくんだね
過ぎて行く季節なんか気にも留めずに
<夏のおわりに>05.05.28