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てっしゅう
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「不思議な夏」 第十六章~第十八章

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「そうなの。主人も心配しているし、ひとつ提案があるんだけど、どうかなあって思って」
「先生が考えてくださったのなら効果があるのかも知れませんね。聞かせてください」
「ええ、その前に志野ちゃんのことで聞かせて欲しいことがあるんです。貴雄さんは、昔に帰って行ったと私に言いました。ご存知ですよね?このことについて何か思い当たることが無いかと前から実は聞いてみたかったんです。正直なところどうなんですか?」

小百合は安藤理香が何を聞きたいのか分かっていた。それは志野が何処に行ってしまったのか、という問いに答えるような意味合いを持っていたからである。
「理香先生、あの日からずっと仏壇の祖母の写真を見て考えていたんです。似すぎているって・・・ね。その、つまり、本人じゃないのかって・・・」
「エッ?どういうこと?小百合さん」
「祖母は亡くなる寸前に私の手を握って、母様・・・って言ったんです。ボケて勘違いしたんだとずっと思ってきましたが、どうやらそうではないような気がしております」
「そうではない・・・つまり、お婆様は自分が志野だと言う事を、秘密にしていたということ?最後にあなたを見てそう言ったって言うことなの?」
「はい、今考えると、そうとしか思えないんです。母にも父にも話さなかったことには理由があったと思います。死の瀬戸際で、最後に苦しかった思いを吐き出したのではないかと」
「そうね、でもね、そうだとするとつじつまが合わなくなるのよ。500年前から現れて、貴雄さんと知り合い、あなたと知り合った。志野ちゃんがあなたのおばあさんになるのはその後なのよ。当然あなたは志野ちゃんがこの時代に来た時点で存在しないって言うことになるの・・・違うかしら?」

小百合には理屈はどうでも良かった。志野が、祖母であることは間違いないと信じるようになっていたから。