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リレー小説『暗黒と日記』 第三話

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「もしもしっ!」
 鐘の音が止んだ時、通話は切れていた。
 なぜか圏外になっていて、もう繋がらない。
 とにかく一度外に出よう。もともと僕はそういう役なんだ。
 少佐に相談すれば、なんとかなるだろう。案外、小唄達も外で待ってるのかも知れないし。
 そう自分に言い聞かせて、僕は立ち上がった。

 音楽室を出ようとした時、何かが背中をざわざわと撫でる。
 それは強烈な意志を持った”視線”だった。

 ズルリ……

 僕以外に誰もいないはずの音楽室で何かを引きずるような音がする。
 金縛りにあったかのように”何か”に背を向けたまま動けない僕。
 その音は確実に近づいてくる。
 
 ズルリ……ズルリ……

 額から冷たい汗がダラダラと流れ落ち、心臓が激しく収縮するたびに血の気が失せていく。
 
 振り返っちゃいけない!


 心の中でそう叫びながらも、僕の首はゆっくりと後ろへと向けられようとしていた。