泉の中の恋(永遠の楽園,後編)第一章
泉の中の恋(永遠の楽園、後編)(1ページ〜35ページ)
▼創作者情報
▼あらすじ
あの事件から三年。
智子の遺体があがった。
事実は、大きく、捻じ曲げられ、東野流水は悲劇のヒーロー、高倉(旧姓沢尻)けいは、行方不明のまま、殺人犯に、なっていた。
フリーのルポライター、真中奈緒は、事実をたぐりよせる。
果たして、真実に、とどくのか
イタリアで 六千年前の男女の骨が折り重なって、発見された。
永遠の楽園の結界は、神にこじ開けられたのか。
真中奈緒の、熱病のような恋。
新興宗教、「真実」のカリスマグル 麻川琢磨の予言。
暑い夏を切り裂く、連続殺人事件..
永遠の楽園は最後に、どういう、審判をくだすのか..
最初に 最初で最後の恋(永遠の楽園、前編)を読まれることを、おすすめします。
※ まだ、最初で最後の恋(永遠の楽園、前編)をお読みになっていない方へ
前編
最初で最後の恋(永遠の楽園、前編)のあらすじ
沢尻けいは 一瞬で恋に落ちた。
氷河の泉のように 透明な、高倉弘に..
二人は熱情のまま、結婚するが、新婚旅行の登山で 弘は谷に身を投げる。
悲観にくれた、けいは、弘に似た、有名作家の 東野流水に抱かれてしまう。
けいの 無二の親友、土屋智子は 東野と婚約する。
そして、運命の日。
智子は殺され、けいも殺されかけるが、逆に憎い仇を殺す。
すべては 羊の皮をかぶった、悪魔の、東野の策略だった。
けいは、弘のいる 永遠の楽園に身を投げる。
===================================================
章タイトル: 第1章
-----------------------(p.1)-----------------------
(一)
「おい、起きろ、奈緒、土屋智子の、遺体が上がったぞ。」
耳元で、編集長の声がひびく。
真中奈緒は、携帯を耳にあて、目をこすりながら、ベッドサイドの時計を見た。
朝の九時十分..
冗談じゃないよなあ、夕べは、追いかけている、新興宗教のルポの整理で、朝方まで、起きていたというのに..
ん、土屋智子..土屋智子..だれだっけ。
編集長は、さらに声を大きくして、言った。
「なに、寝ぼけてんだ、土屋智子だ、三年前の東野流水殺人事件の、東野の婚約者だった女だよ。
今、法医学所で土屋智子と断定されたぞ。」
頭の回路が一気につながった。
東野流水殺人事件..
東野は三年前に殺された。
A賞作家として、華々しくデビューした、東野は端正な顔立ちとしぐさで、たちまち、メディアでひっぱりだこになった。
だけど同時にスキャンダルもたくさんあった東野は、突然、普通のOLだった、土屋智子と婚約する。
本命だと噂された、ピアニストの笹川結子とは、どうなるのか。
マスコミはこぞって、取材合戦をしたけど、長くは続かなかった。
東野は殺されたのだ、土屋智子の親友だった、沢尻けいに..
土屋智子の部屋で..
高倉(旧姓、沢尻)けいは、東野を殺した後、谷川岳へむかっていたという事は わかっているが、その後、消息不明。
同時に土屋智子も行方不明になった。
おそらく、結婚したてだった、高倉けいの夫、高倉弘の後を追ったのだろうと、みな推測したが、遺体はあがらなかった。
高倉弘とともに、谷底に眠っているのだ、おそらく..
高倉弘は、けいの目の前で、一の倉沢から、身を投げた..
日本中、この話題でいっぱいになった。
なぜ、高倉けいは、東野流水を殺したのか。
高倉けいのアパートに、東野が一緒に入ったと、いう目撃談がさらに、報道を加熱させた。
へたな、ミステリーより、数倍おもしろい、事実にみな、推測をたてた。
怨恨、痴情、金..
しかし、関係者が、全員、行方不明か死亡という、類いまれなるこの事件は、被疑者、高倉けい、失踪という、事実で永遠に闇にはいる。
あれから、もう三年か..
奈緒は当時を思いだしていた。
当時は、まだ、雑誌の編集部にいて、この事件の担当になり、張り切っていたのだ。
今は、訳があり、フリーのルポライターになっている。
当時の編集長はまだ、気遣ってくれ、こうやって連絡をくれていた。
奈緒は急いで着替えて、土屋智子と断定された、法医学所に向かった。
警視庁、法医学所の前には、報道陣の人だかりができている。
警視庁の発表は、すでに、始まっていた。
奈緒は、編集長から借りている、大手出版社の身分証で中に入ることができた。
土屋智子は、白骨化され、奥多摩の山中で発見された。
休日でトレッキング中のOLが、野犬かイノシシに掘り起こされた、骸骨を見て、あわてて、緊急連絡。
法医学所で調べた結果、血液型、歯の治療結果から、三年前、A賞受賞作家の東野流水と 婚約していた、土屋智子と断定。
首の頚椎が、折れており、絞殺され、埋められたものと、推測される。
死亡推定日時は、三年前前後。
奈緒は、いつも、思案する時にするように、下唇をかんで考える。
土屋智子は殺されていた..
いったい、誰が殺したのか。
東野を殺して、失踪した、高倉けいか。
動機は、東野をめぐっての、痴情のもつれか。
携帯がなった。
ディスプレイを見る。
奈緒が今、ルポをまとめている、新興宗教、「真実」の教祖、麻川琢磨からだった。
「こんにちわ、奈緒さん、実は、とても、興味深い、ニュースが今日、入ってね。」
麻川は、透き通った、天使のような声でそう言った。
麻川が教祖の教団「真実」は、麻川を中心にハーレムのような、団体をつくっていた。
推定会員人数、二十台から三十台までの、女性ばかり、三十数名、夢殿と呼んでいる、大井にある、つぶれた食料品会社ビルで協同生活をしている。
自ら、平安時代の陰陽師、安部清明の生まれ代わりと名乗る、麻川琢磨はその、中心にいた。
「奈緒さん、今から、その記事を、携帯に送るから、感想を聞かせてよ。」
そういうと、携帯は切れ、記事が送られてきた。
>愛は時を超えて」=伊で6千年前の固く抱き合った男女の遺体を発掘
【ローマ8日】発掘調査中のイタリアの考古学者が、約6000年前に、腕を絡ませて抱擁するような形で埋葬された若い男女のカップルの人骨を発見、「時を超えた愛」として話題になっている。
2体の人骨は、イタリア北部のマントバでの発掘作業中に発見された。向き合って腕を絡み合わせており、保存状態も良好だった。
発見した考古学者の責任者メノッティさんは、
「新石器時代の埋葬室で発見した。骨は男と女のものとみてまず間違いないと思うが、DNA鑑定で数カ月後にははっきりしたことが分かるでしょう。歯列が完全で摩損も少ないことから、若い人の骨だと思われます」と話した。
メノッティさんはまた、「なぜこのように抱擁するような形で埋葬されたかが、皆さんが知りたいところだと思いますが、
私は時を超越した大きな愛情のしるしだと考えます。2人はお互いに強く思い合っていたのでしょう」と語った。<
奈緒は、麻川に電話をした。
「読みました。
▼創作者情報
▼あらすじ
あの事件から三年。
智子の遺体があがった。
事実は、大きく、捻じ曲げられ、東野流水は悲劇のヒーロー、高倉(旧姓沢尻)けいは、行方不明のまま、殺人犯に、なっていた。
フリーのルポライター、真中奈緒は、事実をたぐりよせる。
果たして、真実に、とどくのか
イタリアで 六千年前の男女の骨が折り重なって、発見された。
永遠の楽園の結界は、神にこじ開けられたのか。
真中奈緒の、熱病のような恋。
新興宗教、「真実」のカリスマグル 麻川琢磨の予言。
暑い夏を切り裂く、連続殺人事件..
永遠の楽園は最後に、どういう、審判をくだすのか..
最初に 最初で最後の恋(永遠の楽園、前編)を読まれることを、おすすめします。
※ まだ、最初で最後の恋(永遠の楽園、前編)をお読みになっていない方へ
前編
最初で最後の恋(永遠の楽園、前編)のあらすじ
沢尻けいは 一瞬で恋に落ちた。
氷河の泉のように 透明な、高倉弘に..
二人は熱情のまま、結婚するが、新婚旅行の登山で 弘は谷に身を投げる。
悲観にくれた、けいは、弘に似た、有名作家の 東野流水に抱かれてしまう。
けいの 無二の親友、土屋智子は 東野と婚約する。
そして、運命の日。
智子は殺され、けいも殺されかけるが、逆に憎い仇を殺す。
すべては 羊の皮をかぶった、悪魔の、東野の策略だった。
けいは、弘のいる 永遠の楽園に身を投げる。
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章タイトル: 第1章
-----------------------(p.1)-----------------------
(一)
「おい、起きろ、奈緒、土屋智子の、遺体が上がったぞ。」
耳元で、編集長の声がひびく。
真中奈緒は、携帯を耳にあて、目をこすりながら、ベッドサイドの時計を見た。
朝の九時十分..
冗談じゃないよなあ、夕べは、追いかけている、新興宗教のルポの整理で、朝方まで、起きていたというのに..
ん、土屋智子..土屋智子..だれだっけ。
編集長は、さらに声を大きくして、言った。
「なに、寝ぼけてんだ、土屋智子だ、三年前の東野流水殺人事件の、東野の婚約者だった女だよ。
今、法医学所で土屋智子と断定されたぞ。」
頭の回路が一気につながった。
東野流水殺人事件..
東野は三年前に殺された。
A賞作家として、華々しくデビューした、東野は端正な顔立ちとしぐさで、たちまち、メディアでひっぱりだこになった。
だけど同時にスキャンダルもたくさんあった東野は、突然、普通のOLだった、土屋智子と婚約する。
本命だと噂された、ピアニストの笹川結子とは、どうなるのか。
マスコミはこぞって、取材合戦をしたけど、長くは続かなかった。
東野は殺されたのだ、土屋智子の親友だった、沢尻けいに..
土屋智子の部屋で..
高倉(旧姓、沢尻)けいは、東野を殺した後、谷川岳へむかっていたという事は わかっているが、その後、消息不明。
同時に土屋智子も行方不明になった。
おそらく、結婚したてだった、高倉けいの夫、高倉弘の後を追ったのだろうと、みな推測したが、遺体はあがらなかった。
高倉弘とともに、谷底に眠っているのだ、おそらく..
高倉弘は、けいの目の前で、一の倉沢から、身を投げた..
日本中、この話題でいっぱいになった。
なぜ、高倉けいは、東野流水を殺したのか。
高倉けいのアパートに、東野が一緒に入ったと、いう目撃談がさらに、報道を加熱させた。
へたな、ミステリーより、数倍おもしろい、事実にみな、推測をたてた。
怨恨、痴情、金..
しかし、関係者が、全員、行方不明か死亡という、類いまれなるこの事件は、被疑者、高倉けい、失踪という、事実で永遠に闇にはいる。
あれから、もう三年か..
奈緒は当時を思いだしていた。
当時は、まだ、雑誌の編集部にいて、この事件の担当になり、張り切っていたのだ。
今は、訳があり、フリーのルポライターになっている。
当時の編集長はまだ、気遣ってくれ、こうやって連絡をくれていた。
奈緒は急いで着替えて、土屋智子と断定された、法医学所に向かった。
警視庁、法医学所の前には、報道陣の人だかりができている。
警視庁の発表は、すでに、始まっていた。
奈緒は、編集長から借りている、大手出版社の身分証で中に入ることができた。
土屋智子は、白骨化され、奥多摩の山中で発見された。
休日でトレッキング中のOLが、野犬かイノシシに掘り起こされた、骸骨を見て、あわてて、緊急連絡。
法医学所で調べた結果、血液型、歯の治療結果から、三年前、A賞受賞作家の東野流水と 婚約していた、土屋智子と断定。
首の頚椎が、折れており、絞殺され、埋められたものと、推測される。
死亡推定日時は、三年前前後。
奈緒は、いつも、思案する時にするように、下唇をかんで考える。
土屋智子は殺されていた..
いったい、誰が殺したのか。
東野を殺して、失踪した、高倉けいか。
動機は、東野をめぐっての、痴情のもつれか。
携帯がなった。
ディスプレイを見る。
奈緒が今、ルポをまとめている、新興宗教、「真実」の教祖、麻川琢磨からだった。
「こんにちわ、奈緒さん、実は、とても、興味深い、ニュースが今日、入ってね。」
麻川は、透き通った、天使のような声でそう言った。
麻川が教祖の教団「真実」は、麻川を中心にハーレムのような、団体をつくっていた。
推定会員人数、二十台から三十台までの、女性ばかり、三十数名、夢殿と呼んでいる、大井にある、つぶれた食料品会社ビルで協同生活をしている。
自ら、平安時代の陰陽師、安部清明の生まれ代わりと名乗る、麻川琢磨はその、中心にいた。
「奈緒さん、今から、その記事を、携帯に送るから、感想を聞かせてよ。」
そういうと、携帯は切れ、記事が送られてきた。
>愛は時を超えて」=伊で6千年前の固く抱き合った男女の遺体を発掘
【ローマ8日】発掘調査中のイタリアの考古学者が、約6000年前に、腕を絡ませて抱擁するような形で埋葬された若い男女のカップルの人骨を発見、「時を超えた愛」として話題になっている。
2体の人骨は、イタリア北部のマントバでの発掘作業中に発見された。向き合って腕を絡み合わせており、保存状態も良好だった。
発見した考古学者の責任者メノッティさんは、
「新石器時代の埋葬室で発見した。骨は男と女のものとみてまず間違いないと思うが、DNA鑑定で数カ月後にははっきりしたことが分かるでしょう。歯列が完全で摩損も少ないことから、若い人の骨だと思われます」と話した。
メノッティさんはまた、「なぜこのように抱擁するような形で埋葬されたかが、皆さんが知りたいところだと思いますが、
私は時を超越した大きな愛情のしるしだと考えます。2人はお互いに強く思い合っていたのでしょう」と語った。<
奈緒は、麻川に電話をした。
「読みました。
作品名:泉の中の恋(永遠の楽園,後編)第一章 作家名:ここも