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「げっ、」
学校から帰宅すると、『毛』が私にすり寄って来た。
お気に入りの服で着飾った私にとって、これほどの強敵は他にいない。
「ちょっと、これなんとかして!」
私が叫ぶと、心外そうな顔で妹が来た。
「『これ』じゃなくて『パピコ』!」
「ああー、分かったから向こうにやって!早く!!」
妹は不機嫌そうな目で私を一瞥し、パピコとかいう『毛』を連れて行った。
私はようやく一息ついて…って、もう服に毛が付いてる……。
本当に、油断ならない敵である。

私は別に犬が嫌いなわけじゃない。
ポメなんとかだかパピなんとかいう結構ポピュラーな犬種らしく見ている分にはくりくりした目が愛らしいし、長いふさふさした毛は優雅というか気品を感じさせる。そう、一言で言えばかわいいと思う。
でもそれが尻尾を振って近付いてきて私の服に毛を付けると思うと…。一変して強敵になるのだ。

この『毛』がやって来たのはつい最近。
親戚だかいとこの犬が子供を生んだので飼わないか、と言われて妹が連れて来たのだ。
妹は犬とか動物が好きらしく、甲斐甲斐しく『毛』の世話をしてやっている。
よく自分から服に毛を付けるようなことをするな、と思うけど妹はまだ小1だから、あまり自分の身に頓着がないのだろう。
私は毛が付いたり汚れたりするのはすごく気になるので、極力関わらないようにしてる。
そう、関わらないようにしているのだが…『毛』のほうはどうやらそのつもりはないらしい。
私が歩いていると後ろに付いて来て、挙句部屋にまで入ろうとする。いや、まあ入らせないけど。
ひどいときには座っているときに膝に乗ろうとしてくる。遠慮がないにもほどがあるだろう。きっと飼い主のしつけが悪い。
一度妹にそう言ったら「好かれてるんだよ、よかったね」と笑顔で返された。何を聞いたらそうなるの?

作品名: 作家名:さぼてん