こんばんは ④<クリスマスの種>
こんばんは ④
<クリスマスの種>
「こんばんは……。あの……」
こうちゃんは思い切って声を掛けてみました。
こうちゃんは小学五年生。運動はあんまり得意じゃないけど、明るく元気で、不思議なことが大好きな男の子です。
それは夏休みだというのに学習塾で夜遅くまで居残りをしてきた帰りの事でした。
こうちゃんは又、あの不思議なおじいさんを見かけたのでした。
真っ赤なアロハシャツに半ズボン。
少しやせ気味の大きなからだ。
真っ白なかみの毛と鼻の下の真っ白でりっぱなヒゲ。
手には小ぶりの白い布袋を持っています。
おじいさんは、なにやらキョロキョロと見回しながら歩いて、時々立ち止まっては、じっと家の方を見ていました。
そして――。その白い布袋に手を突っ込むと何かを取り出して、その家の庭に投げ込んだみたいでした。
こうちゃんはしばらくのあいだ、おじいさんに見つからない様に少し離れてついて来たのですが、とうとうガマンできなくなって声を掛けたのでした。ドキドキしながら……。
「こんばんは……。あの……」
おどろいたのはおじいさんの方でした。
ふりむいて目をパチクリさせると、だんだん優しい目になって、こうちゃんの顔をのぞき込みました。
<クリスマスの種>
「こんばんは……。あの……」
こうちゃんは思い切って声を掛けてみました。
こうちゃんは小学五年生。運動はあんまり得意じゃないけど、明るく元気で、不思議なことが大好きな男の子です。
それは夏休みだというのに学習塾で夜遅くまで居残りをしてきた帰りの事でした。
こうちゃんは又、あの不思議なおじいさんを見かけたのでした。
真っ赤なアロハシャツに半ズボン。
少しやせ気味の大きなからだ。
真っ白なかみの毛と鼻の下の真っ白でりっぱなヒゲ。
手には小ぶりの白い布袋を持っています。
おじいさんは、なにやらキョロキョロと見回しながら歩いて、時々立ち止まっては、じっと家の方を見ていました。
そして――。その白い布袋に手を突っ込むと何かを取り出して、その家の庭に投げ込んだみたいでした。
こうちゃんはしばらくのあいだ、おじいさんに見つからない様に少し離れてついて来たのですが、とうとうガマンできなくなって声を掛けたのでした。ドキドキしながら……。
「こんばんは……。あの……」
おどろいたのはおじいさんの方でした。
ふりむいて目をパチクリさせると、だんだん優しい目になって、こうちゃんの顔をのぞき込みました。
作品名:こんばんは ④<クリスマスの種> 作家名:郷田三郎(G3)