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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・四】うさもさ

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眠そうにあくびをした制多迦が伸びをして目を擦った
「…ったかい…」
栄野家の縁側で一人春の日差しの中でポケポケ日光浴をしている制多迦はいつ眠ってもおかしくはない感じでコックリと頭を動かしては柱にぶつかりまた頭を上げるということを繰り返していた
「先客がいたんだやな」
トタトタという足音が聞こえ制多迦が顔を上げるとコマとイヌが制多迦を挟んで左右に座る
「ここは一番昼寝に最適な場所なんだやな」
前足を思い切り伸ばしてアクビをするとコマが丸くなった
「…こに座る?」
制多迦がにっこり微笑みながら自分の膝を指さした
「いいんだやな?」
イヌが嬉しそうに尻尾を振って聞き返すと制多迦が頷く
「ゼンもなんだやな!」
それを見ていたコマも制多迦の膝に飛び乗った
「人肌は落ち着くんだやな~…」
イヌが制多迦の膝の上で丸くなり大きくあくびをした

「…頭変形すんじゃねぇのか?;」
パックの伊右衛門を片手に持った京助がさっきからゴンゴン頭をぶつけている制多迦に声を掛けた
「…ょうすけ…」
だんだん痛くなってきたのか京助を見上げながら制多迦は自分の頭を撫でた
「よいこらせっと」
そんな制多迦の隣に腰を下ろすと京助がパック伊右衛門の中身を一気に飲み干す
「どうしてわざわざ眠気誘うような場所にいるかねお前さんも」
ベコベコと空になったパックに空気を入れつつ京助が聞く
「…って…気持ちいいし」
ほえほえした笑顔で制多迦が答えた
「いや…気持ちいいのはわかるけど…眠っちゃ駄目なんだろお前;」
京助が聞くと制多迦が頷く
「だから何で気持ちいいと眠くなるのにわざわざ…」
何を聞きたいのか自分でもわからなくなってきているらしい京助を見て制多迦が首をかしげる
「……; …もういいや;」
ついに諦めたのか京助が口からストローを放して溜息をついた
「…今日はお前一人か?」
気を取り直して話題転換なのか京助が制多迦に聞いた
「…ん…矜羯羅何か用事あるみたいで見えなかったから」
膝の上で寝ているコマとイヌを撫でて制多迦が目を細めた
「…ってか何でお前は眠ったら駄目なわけ?」
京助が聞くと制多迦の手が止まり少しだんまりが続いた
「もしかして…聞いちゃアカンかったか?;」
京助が制多迦の顔を覗き込みながら言う