キジと少年
静かな山間〔やまあい〕に、その音が悲しく響き渡った。
「ケーン ケェーーーン……」
山々に木霊しながら、まるでその悲しみを引きずるように長く尾を引いて――それでも少しずつその音は薄くなっていき、ついには耳を澄ましても何も聞こえなくなってしまった。
少年はその瞳に涙を溜め、悲しい響きの音を聞きながら『彼』が逝ってしまったことを悟っていた。
――ケーン ケェーーーン……
もう一度少年の脳裏に懐かしい声が蘇っていく。
そして、いつか誰かに聞いたその言葉が、突然、彼の記憶の底から浮かび上がった。
『キジもなかずばうたれまい』