秘められた想い
「見たの!?わたしも見たかったわ」
「そのときに理絵さんに会えますようにって、お願いしたんだ」
「願い事が叶ったのね!」驚いてから笑った。
「そうなんだ。来年は一緒に、山へ行こう」
「いいわね。一緒に流れ星、見たいわ」
「ところで、今夜泊まるところは?」
田村は顔の表情に心配を顕わしている。
「わたしね、パック旅行に飽きたの。お食事なんかも、飛び込みで思いがけなく、きらっと光るようなものを発見したい……」
「無謀な気もするけど、そういうのは嫌いじゃないな。急に生き方を変えたくなったのかな?」
「浩二さんと思いがけなく再会できたから、そういう心境になったのかも。鈍行列車の旅、辛い面もあったけど、愉しかったよ」
今夜は理絵と初めて、どこかのホテルの同じ部屋で眠ることになるかも知れない。そう思うと田村は緊張し、喉が渇いた。彼は水を飲み干し、更に理絵の分の水をもらった。
了