チャトラ
その翌朝、私は出勤前にまた公園へ行った。チャトラはまだ同じ場所で震えながら待っていた。名前を呼ぶと、彼は聞いたこともないかすれたような声で力なく応えた。昼になってまた公園へ行くと、チャトラはやはり待っていた。そのときから夕方まで、私は何とか母を説得し、チャトラとの生活を復活させたいものだと思い続けた。
まだいるかどうかわからないチャトラを乗せるために、夕刻に車で公園へ行くと、彼はちゃんと同じ場所で待っていた。私は嬉しい気持ちでチャトラを迷わず車に乗せた。しかし、家には連れて帰らなかった。
家の近くに私が通った小学校があった。その小学校の近くの公園は、家から四百メートルくらい離れていたが、そこはチャトラも知っている場所だと思い、私はそこで彼をおろした。やはりよく知っているところだったらしく、車から出たチャトラは勢い良く走り出し、あっという間に姿を消した。
そのとき、三日経ったら帰ってこい!と、私は心の中で叫んだ。
痩せたチャトラが家に戻ったのは、ほんとうに三日経ってからのことだった。
「お前、チャトラが帰ってきたよ。可哀想に、痩せて帰ってきたよ。
スーパーでキャットフードが安かったから買ってきた」
母は嬉しくてたまらないといった笑顔で云い、私に五キロも入っている大きな青い袋を渡した。