いのちって
「あのね、ランちゃん。この世界で自然にあるものには、総てのものに命ってものがあるんだよ」
「いのち?」
「うん、そうなんだよ。その命があるものが、そこにあることが生きてるってことなんだよ」
「うーーん……」
「まだランちゃんには難しいかもね。でもね、その命っていうのは、この世で一番大切なものなんだよ」
「ふうーん いちばん たいせつなもの なのかあ……」
「さあ、おいで」
そう言うとおばあちゃんは、ランちゃんを自分の膝に載せ、ぎゅっと抱きしめたあと頭を撫でながら言いました。
「そしてね、おばあちゃんにとって一番大切な命は、ランちゃんなんだよ」
それを聞いたランちゃんはにっこりほほ笑みました。
「おばあちゃん ランちゃんも おばあちゃんが だいすきだよ」
そう言うとちょっとだけ立ちあがって、おばあちゃんのほっぺにチュッとしました。
ちゃんとには分からなかったけど、「いのち」ってとっても大切なものなんだと、何となくランちゃんにも分かったような気がしたのでした。
― おしまい ―