犠牲になる少年の話
手術室に入ると、さっそく移植手術が始まった。僕は覚悟を決め
て、ベッドで仰向けになった。医師の助手が麻酔を打とうとしてい
た。僕は、自分の死体はどうなるのかを医師に尋ねた。医師は僕に、
市内の八事にある火葬場で焼かれ、骨は家族である妹に渡されると
教えてくれた。その話を聞いて、僕は少し安心することができた。
骨という形だけど、妹の元に帰れるのだと……。
そして、医師が僕に麻酔を打った。しびれ始めたかと思うと、す
ぐに全身の感覚が無くなり、僕は眠りについた。もう起きることは
ないので、永眠と同じだ……。
僕は夢の中で、妹との楽しい日々を思い出していた。だけど、し
ばらくして、その夢はどんどんと薄れていってしまった……。
僕は…………。