待たせてゴメンね♪
いよいよ受験の日が迫ってきたある日、僕たちは久しぶりにデートをした。
たまに時間を作って僕の部屋で会うことはあっても、それはほんの僅かな時間で、逆にもっと一緒にいたいという想いを深くするだけだった。
だからこそ、受験前に気持ちを引き締めるためにも、そして何のために大学に行くのかを再認識するためにも、今回のデートは必要不可欠なんだ!
――なんて親の手前、大袈裟な理由を付けてその一日を作ることに成功した。
そして、そのためのデート資金もちゃっかりと調達した。
僕たちが真面目な気持ちで付き合っていることを、親もちゃんと理解してくれているので、おおらかに送り出してくれそうだった。
問題はどこに行くか? だった。
僕としては大切な思い出の一日にしたかった。 そして結局、市内でも有名な学業の神様が祀ってある天神様にお詣りに行って、僕の合格祈願をして、その後、少し距離はあるけど電車に乗って一時間程の、T公園に行くことにした。
そこには大きな池があって、その池には白鳥もいるし、白鳥の形をしたボートにも乗れる。遊べる遊具も色々揃っているから、天気さえ良ければ最高の場所だ。
僕たちは毎日その日を指折り数えて待った。 そしてやっとその日になった。
僕は自転車で、京子を家まで迎えに行った。
玄関から出てきた京子は、白地に赤い小花柄のキャミワンピーにブルーデニムのGジャンを軽く羽織っていた。
『可愛い! やっぱり京子は可愛い。まるで花の花芯から現れた妖精のようだ』
僕は嬉しくなってにっこり笑った。
京子もそんな僕に微笑み返してくれた。ちょっぴり照れくさそうに……。
僕たちは自転車に二人乗りをして、天神様へ向かって走った。風がとても気持ちよく、僕たちの横を通り過ぎていった。
京子は僕の腰に手を回して、カーブに差し掛かるとぐっと力を入れて捕まった。
僕はその腕の温もりと、僕にしがみつく京子がとても愛おしく感じた。
天満宮に着くと、自転車を置いて二人で石の階段を登った。
石段の上の宮をくぐると本殿があり、そこで僕たちはお賽銭を投げて鈴を鳴らし、二人で手を合わせて、お祈りをした。
京子は何と祈ったのだろう……? 僕は受験のことはもちろんだけど、もう一つ『京子との将来』を祈った。でもそのことは、今は京子には内緒だ。
お参りが終わると、僕たちはまた自転車に乗って駅に向かって走った。
天気も良く、あまり寒くもない素敵な日で、思い出作りには持ってこいの日だった。
電車に一時間ほど乗って目指す駅に着くと、そこから歩いてT公園に行った。
日曜だからか、さすがに人が多い。
僕たちははしゃいで、小さな子供に帰ったように〔今でも子供なんだけど〕色んな乗り物に乗り、色んなゲームに興じた。
そして、池で白鳥のボートに乗った時、そっと肩を抱き合い口付けをした。
当然のことだけど、僕のジュニアもきちんと反応し、僕は久し振りに京子を抱きたくなった。だから京子にそっと耳打ちをした。誰にも聞こえるわけではないのに……。
「ねぇ、京子。……へ行かないか?」
「えっ? 何?」
僕があまりにも小さい声で(特にあそこを)言ったものだから、京子には聞き取れなかったらしくて、聞き直した。
仕方なく僕はもう一度、今度はさっきより少し大きな声で言った。
「ホテルへ行かないか?」
その途端、京子は顔を赤らめて下を向いた。
「どうしても今日は京子が欲しいんだよ。いいだろ?」
僕はもう一度畳み掛けるようにそう言うと、京子は観念したように小さくコクンと頷いた。
その後、僕たちは手を取り合い急いで公園を後にした。
近くにホテルを探して少し歩くと、駅の近くに一軒のそういう感じのホテルを見つけた。
僕たちは怪しまれるんじゃないかと、ドキドキでその門をくぐった。中へ入ると、掲示板のような物が立っていて、そこに色んな部屋の写真があり、各部屋の写真の隅にボタンが付いていた。
僕たちがその掲示板の前に立つと、どこからともなくアナウンスが流れた。
「お好きな部屋のボタンを押して、お部屋をお選び下さい」
僕たちはその言葉に従って、一つの部屋のボタンを押した。
一〇一号室。初めての僕たちの部屋だから、一番が良いと思った。
部屋に入るとまた声が話し掛けてきた。どうやら会計システムを知らせる案内のようだ。
取り合えず靴を脱いで部屋へ上がると、室内の様子は想像してたよりも厭らしくなくて、二人で部屋の中を一通り検分してみようということになった。
その部屋にはまず、部屋の大部分を占めるようなでっかいベッドがあって、その枕元には、照明のコントロール用や、有線放送の音楽を流すためのコントロールスイッチ等が沢山並んだボックス状の物があり、その横にはティッシュの箱が……(思わず生唾をゴクリ)、そしてベッドサイドには小さ目な黒いゴミ箱があった。
部屋の反対側の隅には、二人が並んで掛けるのにぴったりサイズのラブソファーが、そしてベッドからもソファーからも見える位置には、でっかいテレビが置いてあった。
入ってすぐの壁側には、冷蔵庫やコーヒーカップなどを仕舞ったキャビネットが置いてあって、中のコーヒー・紅茶やお茶などは勝手に飲んでも良いらしいので、あとで飲もうと思った。
一通り部屋の検証が終わると、今度は部屋にあるドアの一つを開けてみた。
するとそこは風呂場だった。その風呂場は自分ちのに比べると、浴槽は少し広い位なのに、洗い場の方は三倍近くもありそうなくらい広くて、なぜか焦った。
一体どうしてこんなに……。想像して〔あんな事、こんな事〕自分で赤くなった。
僕がじっとして動かないものだから、京子が心配して「どうかした?」と聞いた。「ん? いや」とだけ言って、京子の背を押すようにして風呂場を出た。
何だか僕はドキドキしていた。多分京子も同じだったろうと思う。
部屋に戻るとソファーに並んで座ったが、やはり何だか落ち着かなくて、お尻がもぞもぞした。
僕が思い切って京子の肩を抱くと、一瞬だけ京子は身体を硬くしたけど、すぐに僕に身体を預けてきた。僕たちはそっとキスを交わし、そして舌を絡ませた。初めての時より格段に上達していたので、もう歯をぶつけることもなくなった。
僕は徐々に身体の中が熱くなっていくのを感じ、京子も僕の首に腕を掛け、その手に力が入って行く。僕は京子の首筋から胸にかけてゆっくり唇を這わせ、洋服の胸を大きく開くと、ピンクの可愛いブラジャーを押しのけて、そのまま可愛い乳首を口に含んだ。
「あっ」
京子が呻いた。
既に僕のジュニアは先ほどから、熱く硬く僕のズボンの中で、窮屈な思いに耐えながら出番を待っている。僕はそれでもぐっと我慢して京子にと耳打ちした。
「一緒に風呂に入ろうか?」
「いやっ、恥ずかしいもん……」
京子は俯いてそう言ったが、僕がもう一度誘うと今度は、
「うん」
と素直に頷いた。