こんな気持ち
ショッピングセンター内で夕方までのんびり過ごした私達は、車で私の自宅へ向かった。
別れの時間が近づいて来る、そんな時刻だった。
「もう、帰っちゃうんだぁ…」と、私の心の声が呟いた。
すると京ちゃんが聞いた。
「もう少し一緒にいたいけど、いいかなぁ?」
おんなじこと考えてたんだぁ…。
私は嬉しくなって、思いっきりの笑顔で「うん!!」と答えた。
京ちゃんは海が見える、海岸沿いのパーキングに車を停めた。
私たちは車の中でまた、色んな話をした。
話が私の前の夫のことになって、別れる少し前の頃には
夜の生活もからだが反応しなくなっていたことや、そのため、もう女としては終わってしまったと思っていたのに、その後の彼とのセックスでは、とっても感じたことまで話してしまった。
なぜそんな話になってしまったのかはわからないけど……。
自分で話しながら、次第にからだのある部分が、微妙に疼いてゆくような感覚を覚えた。
ふと気が付くと、私の顔は京ちゃんの両手で挟まれ
目の前には京ちゃんの顔があった。
私は自然に目を瞑り、京ちゃんの唇が私の唇に重なった。
初めてのくちづけだった。
嬉しい反面、少し照れくさかった。
しばし無言で、しかし情熱的とも言えるほど何度も
京ちゃんは私の唇を求めて来た。
そして最後、ふたりはじっと見つめ合った。
お互いの存在を確認し合うかのように……。
家まで送ってもらって別れたあと、ひとりになった私は
今日の幸せをしみじみと噛みしめた。
もしかしたら、本当に私が探していた人かも知れない……。
私たちの付き合いは、ゆっくりと少しずつではあったけど
順調に進んでいった。
その後も、週に1度か2度、京ちゃんは仕事の都合が付くと必ず、時間を割いて私に逢いに、車を飛ばして来てくれた。いくら急いでも、必ず1時間半はかかる距離だった。