こんな気持ち
私たちは、色とりどりの花が咲きほこる公園へ行った。
平日であったせいもあり、中は閑散として人は少なかった。
花々に囲まれた遊歩道を、約束通り手をつないで歩いた。
彼は、私に有無を言わせぬ素早さで、私の手を握った。
大きな手だった。
いつも冷たい私の手を、慈しむように包んでくれた。
つないだ手から、京ちゃんの優しさが伝わってくるような気がした。
少し歩いてはベンチに座って休憩し、また歩いてはベンチへ……。
そんな風にゆったりと時間を過ごした。
話が途切れることはなかった。
お互いのものを見る感性を、目と耳と肌で感じ合った。
お互いの現在の話、過去の話をした。
京ちゃんは、私の過去の話にもひるまなかった。
私の、普通の人にはない波乱万丈な過去を、何の躊躇いもなく受け止めてくれた。
京ちゃんの心の深さに感謝した。
歩いてる途中で一度だけ、突然抱きしめられた。
つないだ手をいきなり引き寄せられ、気がついた時には
私のからだはスッポリと彼の腕の中だった。
ほんの一瞬の出来事だった。
京ちゃんは、しきりと私に可愛いと言ってくれた。
私はすっかり小さな子供に戻ったような気持ちになり
京ちゃんに甘えたい衝動に駆られた。