こんな気持ち
その彼と会うことになったのは
「友達の畑で収穫した野菜を、いっぱい貰ったから持って行こうか?」という彼からのメールだった。
何気に「持って行こうか?」と聞かれたものだから
「本当に持って来てくれるの?」
私も何気に尋ねてしまった。
「じゃあ、明日持って行くよ!」
すぐに彼からの返事が届いた。
初めて会った時、お互い初対面っていう気がしなかった。
たった1杯のコーヒーで2時間も話した。
ずっと話しっぱなしだった。
それでもまだ、話し足りない気さえした。
その日の出会いには時間制限があった。私のほうに。
彼はとても紳士的だった。
そして、彼の現在の状況、奥さんとの経緯。
それらをこと細かく説明してくれた。
もちろん、私が尋ねたわけではない。
彼は60歳、私は50歳。
もう若くないし、お互いに過去もある。
私は自然体が好きだ。
何の飾りもなく、何の拘りもない彼の話し方には好感が持てた。
この人が運命の人なんだろうか……?
一瞬、頭をよぎる。
しかし、違った。