ベーシックインカムに関する私的な考察
これが前述の問題とどう関わるか。差別が起これば多くの同じ状況の人は固まるだろう、それは経済の面でも後押しされる。結果として、受給のみで生きる人々の集団ができる、一つの部落のようなものができあがるのではないか。これが世代を重ねた場合どうなるか、差別と偏見と身分の温床となる。
・そして教育格差。
現在、富める人と貧困の人の「子供」は大きな教育格差が存在する。子供に掛けられる教育費の違いが、それを産む。ベーシックインカムではどうなるか。全ての子供に金は渡る、教育費もだ。しかしそれは生活に必要な程度であり、公教育の範囲だ。富める人は自身の財産をつかい、さらに子供の教育に力を入れることが出来る。その結果として、受給のみの子供は労働者の子供に対して教育格差をつけられることになる。
そうして、受給のみの子供が就労可能になる仕事は限られる。そうなれば、そのまた子供も同じように教育格差を受ける。世代を重ねるごとに貧困層と富裕層は完全に隔離することになり、多くの場合越えられない身分としての差が出来る。
以上を私の考える問題点とさせてもらう。勿論だが予測の話である。
しかしそして、その予測を理由として私はベーシックインカムを実施することは不幸を招くと考える。
聞こえは弱者救済のように聞こえるだろう、理想の世界であればまた可能であるかも知れないが、現実には弱者により不幸を与える制度となると私は判断する。
やらなくては分からない。しかし少なくとも事前に実験や統計を行い、楽観的な予想ではなく、実測に基づいた結果から実行可能かどうかを決断して欲しい。
これをもって私の意見を締めさせていただく。
作品名:ベーシックインカムに関する私的な考察 作家名:春川柳絮