つぶやき詩集 (1)
ひこうき雲
少年が或る日
青空を見上げた
一筋の真っ直ぐ伸びた
ひこうき雲を見た
少年の心に
大空への憧れが
湧いた
少年は街角を歩く度に
空を見上げるようになった
どうしたら飛べるのだろう
どうしたら・・・
どうしたらいいんだろう
少年は毎日毎日
考えていた
飛行場へ行っても
基地をフェンス越しに見つめていても
答えは出なかった
少年はまた空を
見上げた
またまた綺麗な
ひこうき雲を見つけた
心の逸る気持ちを
抑えられなくなってしまった
空への憧れは
少年の中で膨れ上がって
破裂寸前だった
どうしたら飛べるのか
どうしたらいいのか
少年はあるビルに
入って行った
階段を淡々と上がって行く
少年はただ上を目指す
ただひたすら上がって行った
そこに求める空があると信じて
上り続けた
屋上に出た
そこには近くなった
空が存在していた
少年は両手を広げ
翼を作った
そして・・
飛行機のように
屋上を駆け巡った
そして・・・
少年は屋上から
飛び立った
憧れの大空が
そこにあった
ひこうき雲も
そこにあった
少年は飛び立てたのだ
大空に消えた
少年が歩いてた街角は
いつもの表情を変えなかった
少年がいなくなっても・・・
作品名:つぶやき詩集 (1) 作家名:Riki 相馬